Raspberry Piとe-inkディスプレイを使用した電子フォトフレーム「CadrePhoto」がオープンソースプロジェクトとしてGitHubで公開された。開発者のozh氏が2025年8月21日に発表したもので、アプリのインストールや複雑な操作なしに、メールで写真を送るだけで離れた家族に画像を届けられる点が特徴だ。
CadrePhotoは、フランス語の「フォトフレーム」で、祖父母と孫の間での写真共有を想定して開発された。システムはRaspberry Pi上で動作するPythonスクリプトが指定されたメールアカウントを定期的にチェックし、新しい写真付きメールが届くと自動的にe-inkスクリーンに表示する仕組みだ。
最大の特徴は、技術的知識を必要としない点にある。写真を送りたい家族は、専用のメールアドレスに写真を添付してメールを送るだけで済む。フォトフレーム側では、新しい写真が表示されると、送信者とフォトフレーム所有者の両方に確認メールが送信される。
また、最新の写真のみを保持する「エフェメラル(一時的)」な設計により、新しい写真の送信を促進している。開発者は「おばあちゃんは孫の新しい写真を愛しているため」として、頻繁な写真共有を促す狙いがあると説明している。
操作性にも配慮されており、フレーム上の4つのボタンで基本的な操作が可能だ。短押しで次の写真表示、長押しで現在の写真削除、デバッグ画面表示、Raspberry Piの安全なシャットダウンなどが行える。これにより、高齢者でも直感的に操作できる設計となっている。
ハードウェア構成は、Pimoroni Inky Impressions 7.3インチe-inkディスプレイとRaspberry Piを組み合わせている。開発者はRaspberry Pi Zero 2で構築したが、他のモデルでも動作するという。ケースには13cm×18cmのIkea製フレームを改造して使用し、手軽に入手できる材料での構築を重視している。
ソフトウェア面では、Python製のメイン処理に加え、pillow、pillow-heif、lgpio、gpiod、python-dotenvなどのライブラリを使用している。IMAP/SMTP対応のメールサーバーがあれば動作し、処理後のメールは自動削除される。運用時はsystemdサービスとして動作し、起動時の自動実行とクラッシュ時の再起動に対応している。
実用性向上のため、SDカードの寿命を延ばすlog2ramの導入も推奨している。また、専用メールアドレスの作成を推奨しており、家族専用の分かりやすいアドレスを使うことで「おばあちゃんと孫にとってのワクワク感」を演出できるとしている。
開発者のozh氏は、これが初めてのRaspberry Piプロジェクトかつ初のPythonプロジェクトと明かしている。プロジェクトはWTF Public Licenseで公開されており、誰でも自由に利用・改変できる。GitHubではハードウェア設定、ソフトウェアインストール、トラブルシューティング用テストスクリプトまで含む包括的なドキュメントが提供されている。