80年代のゲーム機を思わせるレトロなデザインのキーチェーン型ゲーム機を、Arduino互換のATtiny85マイコンで自作する動画がYouTubeで公開された。制作者のNino氏がRedditで設計データを公開しており、友人たちとのワークショップで組み立てを楽しんだという。この小型ゲーム機は128×64ピクセルのOLEDディスプレイを搭載し、スペースインベーダーやパックマンなどのクラシックゲームをプレイできる。
制作者は「80年代の映画に登場する技術の美学が好きで、すべての物体にキャラクターがあり、角ばったデザイン、触感のあるボタン、満足感のある機械的クリック音があった。技術は単なる機能的なものではなく、劇的で、プラスチックとLEDによる演劇的な存在だった」と制作動機を語っている。
このゲーム機の中心となるのは、わずか8KBのフラッシュメモリを持つATtiny85マイコンだ。容量的にはゲーム1本がギリギリ収まる程度だが、シンプルなゲームには十分な性能を持っている。
ディスプレイには128×64ピクセルのSSD1306 OLEDを使用している。このディスプレイはArduinoプロジェクトでよく使われる一般的な部品で、世界中どこでも入手しやすい。小さいながらもゲーム画面を表示するには十分な解像度を持っている。
音響面では、圧電ブザーとその専用ドライバーICを搭載している。ドライバーICは2つのNOTゲートで構成され、スピーカーを差動駆動することで効果的に電圧を2倍にしている。これにより、片側をグラウンドに接続する従来の方法と比較して、より大きな音量を得ることができる。
基板設計では、すべての部品を効率的に配置し、配線を最適化している。完成した基板設計は回路図とともにGitHubで公開されており、誰でもダウンロードして製作できる。製作にはJLCPCBなどのPCB製造サービスを利用し、ガーバーファイルをアップロードするだけで基板を発注できる。
プログラムの書き込みには、Arduino UnoやArduino Nanoを使用する。まずArduino ISPファームウェアをArduinoボードに書き込み、その後ATtiny85にゲームプログラムを転送する。接続は専用の配線図に従って行い、安定した接続のためにはブレッドボードではなく直接はんだ付けすることが推奨されている。
使用する部品は一般的な電子部品が中心で、SSD1306 OLEDディスプレイ、ATtiny85マイコン、Kailhスイッチ(2個)、10kΩ抵抗(2個)、ブザー用ドライバーIC(SN74LVC2G04DBVR)、圧電ブザー、電源スイッチ、コイン電池ホルダーなどで構成されている。
制作者はこのプロジェクトを友人たちとのワークショップで活用し、一緒に組み立てを楽しんだという。電子工作の入門プロジェクトとしても適しており、はんだ付けの練習にもなる。キーチェーンサイズというコンパクトさも魅力の一つで、完成後は実際に持ち歩いて楽しむことができる。
ゲームソフトウェアは別の開発者(andyhighnumber氏)が作成したATtiny用ゲーム集を使用している。スペースアタック(スペースインベーダー風)やパックマン風ゲームなど、80年代のクラシックゲームを小さな画面で楽しむことができる。