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木工&3Dプリンターでサクっと作る、2歳児用ままごとキッチン

子どもの2歳の誕生日におままごとのキッチンをプレゼントした。板材に3Dプリンターで印刷したパーツをあわせることで、作業時間自体は数時間で完成した。

全国のままごと好きな子どもを待つ親や祖父母、兄弟や親戚の参考になり、ついでに3Dプリンターを使いたくなってくれればうれしい。

エアキッチンで遊ぶ息子にキッチンを作りたい

かつてのままごとのキッチン(再現)。フライパンはゴマ煎り器、自分で棚から取り出して遊んでいた

1歳の息子がおままごとで遊ぶようになった。キッチンスケールをコンロに見立てつまみをまわす仕草をしたり、机の足にコップをあてて「ジャージャー!」と蛇口に見立てている。かわいい。

もうすぐ彼の2歳の誕生日。ままごと用のキッチンをプレゼントしたいという気持ちがむくむくと湧いてくる。

「作ってあげたい」と思った。彼はエアキッチンで楽しそうだし必要ないかもしれない、市販品も沢山ある。でも、作った物を贈りたい。それが親心、というかメイカー心なのだ、しょうがない、作ろう。

卓上で遊べる、シンプルなままごとキッチン

調理器具や食材は市販品

できたものはこちら。机などに置いて使うままごとキッチンだ。卓上としては大きめだが、フルサイズと違い使わない時は収納できる。

コンロ・作業スペース・シンクだけのシンプルな構成。土台のジョイントパーツとコンロ、水栓が3Dプリントパーツだ。コンロのノブはカチカチ回せて、水栓は方向を変えられる。シンクは100円均一のトレイを使った。材料費はしめて2000円いかないくらいだった。

パーツは取り外しできるようになっている。片付ける時は外せば省スペースだし、壊れた時の交換や、成長にあわせて一部を取り換えるなどを想定。また、組み立てをパズル的に遊んでくれたら、という裏の狙いもある。

こだわりポイントは家のキッチンに近い配置と作りにしたところ。最近はままごとキッチンでもIHを模してたりするが、うちは昔ながらの五徳コンロ。ままごとキッチンも五徳コンロにした。それと、まな板を置いて切る場所も家のキッチンと同じ配置にし、スペースもしっかりとった。市販のものはこのスペースが狭いものが多いけど、子どもはまだ不器用なのでそれぞれのスペースは広い方がいい。

それではここからは作った様子やプレゼントした反応をお届けする。

過去作の経験と「作り込みすぎない」判断

実は以前にも姪にままごとキッチンを作ったことがあった。木材のみで作ったのだが、何回か試作するなど、なかなか大変だった。

MDF板をレーザーカットして作ったおままごとキッチン

離乳食で学んだのだが、手間をかけて作った物を受け入れられないと悲しい、ちょっと相手を責めるような気持ちさえ湧いてくる。しかし相手は幼児、いくら気持ちをこめていようが拒否されることはしょっちゅうだ。

凝って作りたい気持ちと、自分の心を守るためにもあまり凝りすぎないでいきたい気持ちと。迷いながらバタバタと日々を過ごす間に気が付いたら誕生日前日になっていた。もうこれはサクッとシンプルに作るしかない!ということで、単純な木工と3Dプリントを組み合わせて作ることにした。

3Dプリント×木工でつくるシンプルな制作工程

明日は誕生日。まずはホームセンターへ。木材を購入し、その場でカットしてもらう。自分でやるより正確で早い。1カットは数十円でお安いので積極的に使いたい。他の加工もホームセンターの工作室でやろうとしたのだが、やすりなどの消耗品が別途必要&担当の店員さんがおらず、家で加工することに。

コンロの取付穴はドリルで、シンクの穴は手持ちCNCルーターでカットした。CNCはあまり家庭にはないと思う。ホームセンターの工作室で糸鋸を使ってやってもいいし、ネットで木材を買ってのカットサービスを使うのも手。他にもレーザーカットしたMDF板を2枚重ねてもいいし、ダンボールを使ったっていい。

手持ちタイプCNCのshaper origineで板をカット。AR技術を使って加工を補助、設計データ通りに切断できる。

それと地味にやっておきたいのが木材の角をとる作業。子どもが触るのでけがをしないのは重要。カンナや紙やすりで削っておく。

下準備が終わったら、土台の枠に木工用接着剤をつけて固定する。今回は接着したが、後でジョイントパーツを追加したので、接着はなくてもよかったかも。

そして3Dプリントパーツをモデリング。各パーツはシンプルに。寝る前に3Dプリンターのスイッチをオン。印刷は全てのパーツで4時間程度。

さて、誕生日当日。起きて3Dプリンターを見るとパーツが出来上がっている。よかった、印刷失敗してなくて。

あとは木材にパーツをさしこんでいけばできあがりだ。

ノブをとめるパーツだけはハンマーで押し込む、それ以外は手ではめるだけ

「うれちぃ!」に、母はニヤニヤが止まらない

出来上がったままごとキッチンは、祖母から届いたままごと食材セットも一緒に、息子が家にいない間に机にセット。出会いの瞬間を待つ。息子は帰って見るなり「やったー!」「うれちぃ」と言って早速遊びはじめてくれた!「うれちぃ」、初めて聞いたぞ。想像した以上に食いつきがよい。あまり期待しすぎないようにしていたので、逆に驚いてしまった。作った甲斐があった。

コンロのノブを回したり、フライパンをコンロにかけて「じゅーじゅー」と言ったり。ご飯の時間になるまでずっと遊び、その後数週間たった今も遊び続けてくれている。床の方が使いやすいのか、卓上ではなく床に鎮座しがち。そして、片付けやすいように作ったのに、片付けると「なーい」と言われるので今のところほぼ出しっぱなしになっているのはちょっと誤算でしたね。

素早く作ってアップグレードしやすい3Dプリンター×木工

ご飯を作る時に足元にまとわりつかれがちだったが、「息子君はこっちのキッチンでやろうか」と誘導できるようになった。実際、玉ねぎの皮を剥くなどの作業はここでやってくれるし、やっぱり作ってよかったなと感じている。

作り始めがぎりぎりになり間に合わないかと思ったが、案外どうにかなった。3Dプリンターを使うことで手のかかる加工がなかったのが大きい。3Dプリンター、やっぱりありがたい道具だ。

よく使ってくれているので、もっといじれる所を増やしたいなと考え中。水栓にノブをつけたり、魚焼きグリルをつけたり。息子の希望を聞きつつアップグレードしていきたい。そういうことが気軽にできるのも自分で作る&3Dプリンターのいいところですね。

作りたくなった人へ

3Dプリンターは出力サービスや貸出している施設もあるし、最近は2万円台から購入できる。今回作った3Dデータはこちらで公開した。簡単な作りでも十分遊んでくれるので、モデリング入門にもいいと思う。ブラウザで動く無料の3Dモデリングソフト、TinkerCADでも作れる。また、他の人が作ったままごと系のデータもいろいろと公開されているのでぜひチェックを。

むらさき

ライター・デザイナー。 電子工作やデジタルファブリケーションを駆使して、生活をちょっとへんてこでちょっと便利にする(かもしれない)ものを作っては記事を書いている。 現在は、三浦半島の先っぽで自宅をメイカースペースとして時々開放しつつ、自分のものづくりをしたり、人のものづくりを応援したり。