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裏庭の物置をTSMCと同じ清浄度のクリーンルームに改造、1人で半導体加工も

半導体チップの製造には数十億ドル規模の工場と、病院の手術室の数千倍清潔な専用クリーンルームが必要とされる。だが、YouTubeチャンネル「Dr. Semiconductor」氏はその常識を覆した。自宅裏庭の木造物置小屋を、Samsung、Intel、TSMCと同じ「クラス100」のクリーンルームに1人で作り上げたのだ。

改造の出発点は何もない木造の小屋だった。まず2つのゾーンに分割した。入口側は「ガウニングエリア」と呼ばれる着替えスペースで、クリーンルームスーツや手袋、化学薬品の保管場所を兼ねる。内側が本体のクリーンルームだ。壁には安価な工業用パネルの代わりに難燃性の石膏ボードを使い、表面に水性エポキシ塗料を塗布して粒子が付着しにくい平滑な面を形成した。

クリーンルームの肝は気流制御にある。クリーンルームグレードのHEPAフィルターで濾過した空気を上から下へ整流(ラミナーフロー)として吹き出し、室内を正圧に保つことで外気が流れ込まないようにする。この狭い空間で室内の空気は1時間に数百回入れ替わる計算だ。

実際にパーティクルカウンターで計測したところ、室内中央部で1立方フィートあたり40粒子、室内周辺部でも100粒子未満という結果が出た。これはクラス100クリーンルームの基準を満たす数値だ。一方、屋外の同じ裏庭で測定すると2万粒子を大きく超えており、物置の壁一枚を隔てて環境が劇的に変わることが分かる。

室内の機器構成も充実している。プラズマエッチング装置、試料のアニール処理に使う真空炉、顕微鏡を改造して自作したeビームリソグラフィー装置(カスタムソフトウェアで自律動作し、サブミクロン精度のパターン描画が可能)を左サイドに配置。右サイドには薬品処理用のフュームフード、3Dプリンターで製作したスピンコーター、ロボットアームによる自動試料洗浄装置、薄膜堆積システムが並ぶ。電源は太陽光発電と系統電力を組み合わせ、バッテリーバックアップも備えている。

Dr. Semiconductor氏は今後、回路・センサー・LEDといったデバイスの自作に向けて各装置の詳細と製作工程を順次公開していく予定だという。

FabScene編集部

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