現場を回る少人数のチームで、月末に「誰が何日働いたか」があいまいになる、という問題は珍しくない。メモや記憶、チャットのやりとりを頼りに数える集計は、時給や日給の計算に直結するだけに、あとから食い違うと現場も雇い主もつらい。かといって欧米の勤怠管理サービスは月額課金が中心で、規模の小さい工事チームには割に合わないコストになりがちだ。この問題を、ESP32を1台使った打刻端末で解こうとした個人プロジェクトが公開された。
名前は「CrewTrack」だ。作り手のWorth_Wedding2216氏がRedditの「r/esp32」で経緯を明かしている。父親が営む電気工事の現場で、月末に「Georgeは今月何日働いた?」「Kostasにいくら払えばいい?」といった同じ質問が繰り返し出ることに気づき、クラウドや月額料金がなくても月末の集計を回せる端末を目指した。ソースコード、回路、部品表、Webダッシュボードのコードはすべてまとめて、GitHubにMITライセンスで公開している。
仕組みは単純だ。作業者がRFIDカードを端末にかざすと、内蔵のカードリーダーがIDを読み取り、打刻がSDカードにCSVで書き込まれる。2インチのTFT液晶に本人の名前と時刻が表示され、ブザーで確認音が鳴る。端末は自らWi-Fiアクセスポイントを立ち上げ、スマホをつないでブラウザで接続すると、その日の打刻一覧や作業員の追加・編集、月ごとの給与集計、CSVの書き出しまで扱える。インターネット接続は不要で、現場に持ち出したまま動く設計だ。同じ日に2回タップされた場合の重複除去や、未登録カードの警告表示といった、実運用で必要になる細かい処理も入っている。
ハードウェアは、ESP32開発ボード、RFIDリーダーのRC522、2インチのST7789液晶、microSDモジュール、5Vのアクティブブザーで構成する。作り手の説明では、部品費は1台あたり12〜18ユーロ(約2200〜3300円)に収まる。プロジェクトは動作するファームウェアとWebダッシュボードまで組み上がっているが、ハードウェア統合のテスト、電源まわり、ケース設計はこれから、と本人が段階を明示している。今後はGPSやRTCモジュールの追加、複数車両対応、モバイルアプリなども視野に入れる。同じ規模のチームで勤怠を紙で管理している現場の参考になる作りだろう。