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ショートメールでChatGPTに質問できる装置を自作、電波弱い環境で大活躍

ハイキング中にモバイルデータを使わずに情報検索したいという個人的な課題を解決するため、エンジニアのlennoxlowさんがESP32マイコンとGSMモジュールを組み合わせたSMS経由のAIボットを開発した。このシステムは「TetherTextBot」と名付けられ、GitHubでオープンソースとして公開されている。

同氏は2025年9月4日にRedditで開発経緯を公開した。当初は弱い電波環境でも利用できるSMSの特性を活用し、「シュレックの身長は?」といった疑問をデータ通信なしで検索したいと考えていた。SMSメッセージは約300バイトと軽量で、平均的なWebサイトの210万バイトと比較して大幅に通信量を抑えられるため、電波状況が悪い場所でも送信可能という。

技術仕様と動作原理

デンマークの首都について質問したSMS画面画像出典元Reddit投稿

「TetherTextBot」はESP32-DEVモジュールと「A7670SA GSMモジュール」で構成されている。動作の仕組みは、ユーザーがSMSでメッセージを送信すると、GSMモジュールがESP32に転送し、ESP32がOpenAIのAPIに質問を送信する。ChatGPTからの回答は160文字に自動トリミングされ、SMS経由でユーザーに返信される。

システムは送信者ごとに5分間の短期記憶機能を持ち、マルチユーザーにも対応している。また、Wi-Fi経由でのOTA(Over-The-Air)アップデートにも対応し、筐体を開けることなくソフトウェアの更新が可能だ。

必要な部品はESP32、A7670SA GSMモジュール、クレジットチャージ済みのSIMカード、5V電源、Wi-Fi環境で、開発にはArduino IDEを使用する。ソフトウェアではArduinoJson、ArduinoOTA、HTTPClient、WiFi.hライブラリを使用している。

開発者は最初に基本的な質疑応答機能を実装し、数時間でプロトタイプを完成させた。その後、会話の記憶機能を追加したが、AIに感情や性格を持たせる試みは失敗に終わったという。

同氏は今後の改良案として、文法チェック機能、音声通話機能、管理者コマンド、日常クエスト配信機能などを挙げている。プロジェクトのソースコード、配線図、部品リストはGitHubとInstructablesで公開されており、誰でも自由に利用できる。

関連情報

TetherTextBot GitHub Repository

FabScene編集部

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