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ESP32とレーダーセンサーで速度カメラを自作、私道のスピード違反車両を自動記録

隣人と私道を共有していると、思わぬ問題が発生することがある。製作者のnutstobutts氏の場合、隣人がAirbnbを運営しており、宿泊客が私道を猛スピードで走り抜けていくのが悩みの種だった。直接注意すれば隣人との関係が気まずくなる。そこでnutstobutts氏は、速度を検出して写真を撮影し、サーバーにアップロードする速度カメラを製作した。検出された速度違反情報は隣人にメールで送信され、隣人からゲストに注意してもらう仕組みだ。

レーダーとデュアルマイコン構成

ハードウェアの構成図(画像出典元:minispeedcam.com)

nutstobutts氏はESP32-S3を選択した。低コストでカメラとWiFi機能を統合できるためだ。ただし、「CDM324」レーダーセンサーのアナログデータ処理には「STM32」を使用している。ESP32-S3がカメラとWiFiを担当し、STM32がFFTで速度を算出する。

CDM324は車両の速度に応じた微小電圧を出力する。増幅回路で増幅してSTM32に送り、FFTで速度を判定する。ESP32-S3はUART経由で速度データを取得し、閾値を超えるとカメラで撮影してサーバーにPOST送信する。画像はBase64エンコードされ、速度、撮影日時とともに保存される。

レーダーセンサーは常時稼働し、車両を検出するとESP32-S3がライトスリープから復帰する。ディープスリープは復帰に時間がかかるためだ。起動から撮影、データ送信まで約10秒かかる。消費電力は動作時1.10W、スリープ時0.55Wだ。

最大検出距離は約30mで、音叉でキャリブレーション可能だ。電源は5Vで、USB-Cポートまたはネジ端子から供給する。外部バッテリーでも動作するが、寿命は通行量に依存する。

ファームウェアはオープンソースで公開されている。初回起動時にWiFiアクセスポイントを作成し、スマートフォンから認証情報を入力すれば自動接続する。将来的にはIR暗視機能の追加を計画しており、GPIOピンも露出させて拡張に対応している。


関連情報

MiniSpeedCam (GitHub)

ESP32 Radar Speed Camera (Reddit)

FabScene編集部

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