古いキーボードはコレクションとして飾るか、使えなくなるかのどちらかになりがちだ。メカニカルキーボード愛好家のLucas Leadbetter氏が選んだのは第三の道——1984年製のファミコン用「ファミリーベーシックキーボード」をUSBキーボードとして現役復帰させることだった。
ファミリーベーシックは、ファミコン上でBASICプログラムを組めるようにするために1984年に発売されたカートリッジ+キーボードのセットだ。キーボードはBASICの操作を想定した独自レイアウトを持つメンブレン式で、ファミコン本体と本体前面のDA-15拡張端子で接続する仕様だった。
Leadbetter氏が着目したのは、DA-15ケーブルがキーボード基板にはんだ付けではなくコネクターで差し込まれているという構造だ。これを活かせば、元のコネクターを抜いてマイコンを代わりに接続するだけで改造が完結し、ケーブルを差し替えるだけで元のファミコン用キーボードに戻せる。ヴィンテージ品を傷つけずに機能拡張する、非破壊改造の設計だ。
マイコンにはAdafruitのKB2040(RP2040ベース)を採用した。11ピンのJST PHコネクターをKB2040の各GPIOピンにはんだ付けし、ファームウェアを書き込むだけで動作する。組み立て時間は部品が揃っていれば約1時間。KB2040をカプトンテープで包んで金属シャーシへの短絡を防ぎ、元のグロメットを流用してUSB-Cケーブルを引き出す。外観はオリジナルをほぼ維持したまま、USB接続のキーボードとして使えるようになる。
キーマップはVIAに対応しており、現代的なキーリマップやレイヤー設定が可能だ。メンブレンのタイピングフィールは「良いとは言えない」とLeadbetter氏自身も認めるが、40年前のNintendo製品がUSBキーボードとして動く体験は他にないものだとしている。
ファームウェアとピンアサイン表を含むビルドガイドはGitHubで公開されており、同様の改造を試みるMakerが参照できるようになっている。
※記事初出時に誤りがありました。訂正してお詫びします(2026年3月17日12時14分)