Raspberry Pi上で動作する週次予算管理ツール「Flask Budget Tool」が個人開発者によってGitHubで公開された。開発者のPythonXP1氏が2025年8月21日に発表したもので、クラウドサービスや広告なし、データを外部に送信せずローカルのみで完結する点が特徴だ。
Flask Budget Toolは、開発者が「無料」の家計簿アプリに対する不満から生まれた。多くの家計簿アプリが銀行口座の同期やプレミアム版への誘導を行う中、同氏は「シンプルで1つの仕事をうまくこなすローカルツール」を求めてFlaskベースのツールを開発した。
システムは毎週月曜日に自動的にリセットされ、前週の残り予算を新しい週に繰り越す機能を備えている。月次予算サイクルも自由にカスタマイズでき、任意の日を月の開始日として設定可能だ。これにより、給与日に合わせた予算管理や、個人の生活リズムに応じた柔軟な運用ができる。
全てのデータはRaspberry Pi内のSQLiteデータベースに保存され、外部サーバーへの送信は一切行われない。アカウント作成も不要で、設定ファイルを編集するだけで動作する。最新版のv0.9.3では多言語対応(ドイツ語・英語)と通貨選択機能が追加され、デスクトップブラウザ向けの改良も実施されている。
技術的には、Python 3とFlaskフレームワークを使用して構築されている。Raspberry Pi OS(Debian系)での動作を想定して開発・テストされているが、Python 3とFlaskがインストールされた他のLinuxシステムでも動作する。WindowsやmacOSでは手動でのパス調整が必要としている。
インストールは比較的簡単で、GitHubからリポジトリをクローンし、仮想環境を作成してrequirements.txtから依存関係をインストール後、データベースを初期化してapp.pyを実行するだけだ。ローカルではlocalhostで、同一ネットワーク内の他デバイスからはRaspberry PiのIPアドレス経由でアクセスできる。
Raspberry Pi Zero 2でも動作するよう軽量化されており、リソース使用量を最小限に抑えている。開発者は「超軽量でRaspberry Piが簡単に処理できる」と説明している。モバイル対応のレスポンシブデザインも採用され、スマートフォンからの操作も可能だ。
プロジェクトはオープンソースとして無料公開されているが、開発者はPatreonでプロ版も提供している。プロ版では追加機能、バグ修正、早期アクセス更新が利用でき、継続的な開発をサポートする仕組みとなっている。
GitHubではセットアップガイド、依存関係一覧、使用方法が詳細に文書化されており、技術者でなくても比較的容易に導入できる。