スマートホームデバイスの操作に特化した円形ディスプレイ付きコントローラーを、海外のMakerコミュニティが開発した。スペインの技術ブログAguacaTECが開発した「Mr. Avocado」は、M5Stack社の「M5Stack Dial」とオープンソースのスマートデバイス管理アプリ「Home Assistant」を組み合わせた多機能コントローラーで、最大8台のスマートホームデバイスを操作できる。このプロジェクトは同ブログのコミュニティメンバーと共同で設計され、ソースコードがオープンソースとして公開されている。
「M5Stack Dial」は、ESP32-S3ベースのマイコンボード「M5StampS3」に1.28インチの円形タッチスクリーン、ロータリーエンコーダー、13.56MHz RFID/NFCリーダー、ブザー、バッテリー接続ポート、I2CとGPIOの拡張ポートを搭載したオールインワン開発ボードだ。
「Mr. Avocado」の主要機能として、数秒の非活動後に自動表示されるロックスクリーン(日時表示)、省電力のための自動画面オフ、8デバイス制御用最適化インターフェース、Home Assistantから設定可能なカスタムアラーム機能、NFC/RFIDタグリーダー、Bluetooth Proxy機能を備えている。
「ESPHome」プラットフォームを使用してHome Assistantに統合されており、照明(明度調整)、空調(温度設定)、ロボット掃除機(開始/停止/ホーム復帰)、スイッチ類、除湿機(湿度設定)などの多様なスマートホームデバイスに対応している。ロータリーエンコーダーとタッチスクリーンの組み合わせにより、デバイス選択から詳細設定まで直感的な操作が可能だ。
システムは3つの表示画面で構成されている。ホーム画面では8つのデバイスアイコンが円形に配置され、ロータリーエンコーダーで選択可能。デバイス制御画面では選択したデバイスの詳細操作(明度・温度調整など)が行え、ロックスクリーン(スクリーンセーバー)では時刻と日付が表示される。
スクリーンセーバーは完全にカスタマイズ可能で、非活動時間の設定、自動ロック機能の有効/無効、画面輝度の調整が可能だ。背景画像も自由に変更でき、デフォルトの「Mr. Avocado」テーマ以外にも任意の画像を使用できる。
音響機能では、メニュー操作時のビープ音とアラーム音の両方がカスタマイズ可能で、「RTTTL(Ring Tone Text Transfer Language)」フォーマットでメロディーを指定できる。NFC/RFIDリーダーは13.56MHz帯に対応しているが、開発者は検出精度にやや課題があると指摘している。
AguacaTECは、1000行を超えるESPHome設定ファイルを含む全てのソースコードをオープンソースとして公開している。このコードには、Wi-Fi接続設定、「Home Assistant API」統合、タッチスクリーンとロータリーエンコーダーの制御ロジック、デバイス状態監視、アラーム機能、電源管理などの包括的な実装が含まれている。
開発者は「使用しない機能はコメントアウトまたは削除することでデバイスのパフォーマンス向上とフリーズ防止につながる」とアドバイスしている。また、3Dプリント可能な専用スタンドも設計されており、Webサイトから入手可能だ。