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Raspberry Pi Pico 2でAmstrad CPCをフルアップグレード、メモリ16倍・フロッピーエミュレーション・6音源を1枚の拡張カードで

1984年に登場したAmstrad CPCは、ZX SpectrumやCommodore 64に次ぐ英国8ビットPC文化の一角を担ってきた。しかし既存の拡張ボードは高価か入手困難かのどちらかで、現役のCPCユーザーを悩ませていた。フランスのエンジニアStéphane Plantard氏はその問題を解決するため、約1年かけてRaspberry Pi Pico 2を核とした多機能拡張カード「PicoCPC」を開発した。2026年3月11日にRaspberry Pi公式ブログが紹介した。

PicoCPCがCPCの背面拡張ポートに刺さると、できることが一気に広がる。まずメモリを最大1024kBまで拡張する(元の最大128kBの8倍)。フロッピーディスクコントローラーをエミュレートするため、劣化したフロッピーを使わずSDカードからゲームを起動できる。最大16本のROMイメージを常駐させて、ワープロ「Protext」や代替OS「SymbOS」「FutureOS」にワンタッチでアクセスできる。GX4000コンソール向けカートリッジも読み込め、PlayCity音源カードのエミュレーションで6ボイス音声も追加される。CPC 464しか持っていなくても、フロッピードライブ・増設RAM・BASIC v1.1・拡張メモリアクセスモード(C3)を追加することで実質CPC 6128として動かせる。

技術的な肝はマルチプレクサーを使ったバス接続だ。PicoのGPIOピン数の制限をマルチプレクサー3個で解消し、アドレス・データ・制御信号すべてを12本のGPIOで処理する。片方のコアがCPCのI/Oを管理し、もう一方がエミュレーション処理を担い、PIOMがマルチプレクサーを制御するという3並列アーキテクチャにより、クロック366MHzという速度を引き出した(既存拡張ボードM4は168MHz)。

開発のきっかけは友人のFreddyV氏がIBM PC向けに作った「PicoMEM」だ。「同じことをCPCでもできると思い、コードを書き始めた」とPlantard氏は語る。STM32では信号速度が足りず、FPGAは高価で知識がなかった。「Pico 2は安くて速く、デュアルコアとPIOがあるため他のどのマイコンよりこの用途に向いている」と選定理由を話す。

量産版の最終基板はRP2350BをPCBに直付けした4層基板で、USB-A・USB-C・Micro DVIポート、統合DAC、NFCモジュール、OLEDディスプレイ、1MB SRAM、16MBフラッシュを搭載する予定だ。価格はDDI-5の半額程度の約70ユーロ(約1万1000円)を目標とし、フランス・英国・スペインのリセラー経由での販売を準備中だという。将来的にはROMやファームウェアをオープンソース化する方針も示している。

関連情報

Raspberry Pi公式ブログ(2026年3月11日)
CPCWiki(PicoCPC)

FabScene編集部

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