スマートフォンやPCのUSB-C端子に挿すだけで、ブラウザーに温度の映像が映るサーモカメラ「Picothermal」が公開された。専用アプリは要らない。作ったのはCezar Chirila氏で、2026年10月12日に自身のブログで製作の経緯を明かした。
同氏はこれまで、32×24画素の温度センサー「MLX90640」でサーモカメラを作ってきた。大きな画面と長く持つ電池、より多くの画素がほしくなり、今回はFLIRの温度センサー「Lepton 3.5」を選んだ。画素数は160×120で、縦横ともに5倍になった。同氏はこの選択を「高くついた」と振り返っている。
同氏は、画面と電池を本体に載せないことで解決した。カメラはUSB-CでスマートフォンやPCにつなぎ、相手の画面と電源を使う。同氏によると、AliExpressで売られている安価なサーモカメラやFLIR ONEも同じ形をとる。
違うのは映像の見せ方だ。同氏は長く使える物を作りたいと考えていた。専用アプリに頼れば、カメラが使えなくならないよう、アプリの保守を自分で続けなければならない。そこで同氏は、ブラウザーが直接USB機器とやり取りする仕組み「WebUSB」を選んだ。同氏のWebサイトにある専用ページを開けば映像が出て、ドライバーも入れなくてよい。カメラは各画素の温度の値も送る。ただしFirefoxはWebUSBに対応しておらず、Chromeが要る。同氏は、自分のAndroidスマートフォンではどのみちChromeを削除できないとして、この制約を受け入れた。
基板に載るのは、ラズパイPicoと同じマイコン「RP2040」とUSB-Cの端子、電圧を変換する部品くらいだ。同氏は厚さ1.6mmと0.8mmの基板を別々の業者に発注し、はんだ付けしやすく頑丈な1.6mmの方を使った。
同氏が基板を作ったのは2023年だ。USB通信の処理で行き詰まり、作業はそこで止まっていた。同氏は2026年に作業を再開し、ファームウェアをAIのClaudeに任せた。同氏は、ファームウェアを一切自分で書いておらず、保守しやすいコードでもないと認めている。
回路図と基板のKiCadデータ、製造用ファイル、ケースの3Dデータ、ファームウェアは、MITライセンスでGitHubに公開されている。同氏は、再現しようとして困ったら連絡してほしいと書いている。