Raspberry Pi Zero 2Wを使ったポータブルデバイスでは、バッテリー交換のたびに電源を切ったり、ケースを開閉したりする必要がある。また、SDカードや電源ボタンへのアクセスが不便なケースも多い。この課題に対し、MakerのGrouchi氏が3Dプリント可能なケースを製作し、Printablesで公開した。ホットスワップ可能なバッテリーと磁石式のフェイスプレートを採用し、運用中のメンテナンス性を向上させている。
このケースの中核となるのは、Geekworm X306バッテリーケース(バージョン1.5以降)との組み合わせだ。X306はRaspberry Pi Zero 2W向けのバッテリー管理システムで、USB-C充電に対応している。このバッテリーケースを3Dプリントケースに組み込むことで、標準的な18650リチウムイオン電池を使用できる。
設計の工夫点は、バッテリー交換中にUSB-Cケーブルを接続したまま運用できることだ。製作者のGrouchi氏は実際にテストを行い、バッテリーを交換しながらUSB-C給電することで電源を維持できることを確認している。この機能により、デバイスを停止させることなくバッテリー交換が可能になる。
フェイスプレートは6mm×2mmの磁石で固定する構造だ。このアプローチにより、工具なしでフェイスプレートを取り外せる。電源ボタンの操作やSDカードの交換が必要な際、磁石を外すだけでいい。
ケース内部には予備のSDカード用の隠しスロットも設けられている。複数の設定やOSイメージを切り替えて使用する場合に便利な機能だ。また、USB-C充電ポートへのアクセス用の開口部も設計されており、ケースを開けることなく充電できる。
必要な部品はシンプルだ。Raspberry Pi Zero 2W、ディスプレイ(Amazonで入手可能)、Geekworm X306バッテリーケース、互換性のあるバッテリー、6mm×2mmの磁石、M2.5×6mmのネジで構成される。3Dプリンターがあれば、STLファイルをダウンロードしてケース本体を造形できる。
製作者は将来的な改良も計画している。現在は磁石でフェイスプレートを固定しているが、コーナーの一つをヒートインサート対応に変更し、ネジでも固定できるオプションを追加する予定だという。また、ディスプレイに接続しない側のRaspberry Piをボードに固定するため、M2.5スタンドオフの使用を推奨している。