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フィルムカメラボディにラズパイ搭載 赤外線デジタルカメラの自作プロジェクト

写真家のMalcolm Jay氏が、ヴィンテージのフィルムカメラ「Yashica Electro 35」のボディにRaspberry Pi Zero 2WとNOIR Pi Camera 3を組み込んだ赤外線デジタルカメラを製作した。液晶画面を持たず、オリジナルの光学ビューファインダーで構図を決める独特な仕様が特徴だ。

このカメラは電源を入れると小型のOLEDディスプレイに「Standby」と表示され、背景でカメラアプリが起動する。撮影時はシャッターボタンを押すだけで、オートフォーカス、露出設定、画像キャプチャが自動実行され、DNG RAW形式でファイルが保存される仕組みだ。

赤外線撮影による画像独特のコントラストと質感が表現されている画像出典元Malcolm Jay氏のSubstack

最大の特徴は、液晶画面での撮影画像確認ができない点だ。代わりに元のカメラの光学ビューファインダーを使用し、フォーカス距離も元のレンズセットアップに近く調整されている。Malcolm Jay氏は「プレビューを見ることで撮影の創造的な集中が途切れることがある」とし、このシンプルな操作性にこだわったという。

撮影された画像はすべてDNG RAW形式で内部メモリに保存され、カメラが自宅のWi-Fiに自動接続した際にSSHやSFTP経由で取得できる。USB-C経由での充電にも対応している。

シャッターボタンを5秒間長押しすると安全にシャットダウンする機能も搭載。OLEDディスプレイには撮影枚数とステータスのみが表示される、ミニマルな設計となっている。

Malcolm Jay氏はこのプロジェクトをTikTokでも紹介しており、制作過程や撮影結果を紹介する動画を公開している。フィルムカメラが希少で高価になっていることから、少数限定での販売も検討しているという。

製作には、カメラの分解、金属加工、はんだ付け、3Dプリント、Pythonプログラミングのスキルが必要とされる。主要部品にはRaspberry Pi Zero 2W、Pi Camera 3 NOIR、720nm赤外線フィルター、LiPoバッテリー、小型OLEDディスプレイなどが使用されている。

赤外線撮影により、通常の可視光では表現できない幻想的な白黒画像が撮影可能。植物の葉が白く写り、空が暗く表現される独特の美的効果が得られる。Malcolm Jay氏が公開した作例では、森林や建物が超現実的な雰囲気で表現されており、編集によってさらにコントラストと色調を強調できるとしている。

関連情報

IR Camera Build(Malcolm Jay氏のSubstack)

FabScene編集部

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