バーカウンターを彩る照明は雰囲気作りに欠かせないが、固定的な演出では飽きが来る。そこでsysrpl氏は、スポーツバーのバーカウンター天板にタッチスクリーンと照明システムを組み込み、来客が自由に操作できるインタラクティブな装置を製作した。
このプロジェクトでは、Raspberry Pi 5をコントローラーとして採用し、独自設計の基板と組み合わせている。天板に埋め込まれたタッチスクリーンから照明、音響、エフェクト、映像を直接制御できる。注目すべきは、WiFiキャプティブポータル機能を実装した点だ。来客は自身のスマートフォンのWiFi設定から本体に接続し、手元のデバイスから操作できる。
工夫の一つが、フィンガーペイント機能だ。複数のユーザーが同時にバーカウンター上で異なる色の光のパターンを描画できる。各ユーザーの操作はリアルタイムで反映され、光の軌跡が天板を彩る仕組みだ。
内蔵マイクを使った音声ビジュアライゼーション機能も搭載されている。4種類の可視化パターンが用意され、周囲の音に反応して照明が変化する。Bluetooth接続により音楽をストリーミング再生し、その音源を可視化することも可能だ。
ソフトウェアはC#で記述され、製作者が開発したオープンソースのWebライブラリ「Codebot.Web」を使用している。このライブラリはRaspberry Piのようなシングルボードコンピューター上でも動作するよう設計されたという。実装例はWebサイトで試すことができる。
製作者は電子回路設計とソフトウェア開発を担当し、木工作業、エポキシ樹脂の注入、レーザー彫刻については友人が運営するWood River Studioが協力した。バーカウンター周辺には複数のピンボールマシンや1990年代のアーケードカーペット、八角形のインフィニティミラーが配置され、レトロなゲームセンターの雰囲気を演出している。
このアプローチは、既製の照明システムでは実現できない柔軟性を提供する。来客参加型の演出により、バー空間そのものがインタラクティブな体験の場となる設計だろう。
製作の詳細とソースコードは、GitHubリポジトリで公開されている。