フィルムごとの色の出方を再現する機能は、撮ったあとに現像ソフトで寄せるのとは順序が違う。撮る前に選び、ファインダーの中でその写りを見ながら構図を決める。prtk1910氏は、それをRaspberry Piと公式のHQカメラで作り、GPL-3.0でGitHubに公開した。最初はRaspberry Pi 5で組んでいたが、今回シングルコアの無印Pi Zero Wへ移している。Zero 2 Wの値段が上がったからだという。
選べるプロファイルは8種類ある。標準とクラシッククローム、Kodak Portra、Fuji Velvia、Fuji Astia、Ilford B&W、Kodak Gold、CineStill 800Tで、切り替えると画面の映像がその場で変わる。表示は3.5インチ(対角約89mm)480×320のタッチ液晶で、画面上のボタンから測光方式、露出補正、ホワイトバランスを順に送る。画面の何もない場所を触ると、そこがズームの基点になり、1倍、2倍、4倍と倍率が上がる。ピントの合った輪郭を光らせるフォーカスピーキングと、ハイライトをにじませるPro-Mist風の効果も入っている。
シャッターはGPIO26につないだ押しボタンが受け持つ。長押しすると速度の設定モードに入り、画面をタップするたびに値が変わる。短く押せば撮影で、ファイル名には日時のほか、フィルム名、ISO感度、シャッター速度が並ぶ。
移植で変えたところがいくつかある。Pi 5版は撮影結果をPNGで書き出すが、Pi Zero版は品質92のJPEGにした。画面から1200万画素と300万画素を選べるようにもしてある。筐体は作り直して電池を内蔵し、外付けの電源が要らなくなった。センサーは公式HQカメラのIMX477で、レンズは6mmのM12を使う。
prtk1910氏は、Pi Zero版がまだ実験的であることを隠していない。SPI接続のパネルはカーネル側のドライバーに依存し、そのパネル自体の書き換え速度が表示のなめらかさの上限になる。さらにREADMEには、環境変数をいくら並べてもOpenCVの表示ウィンドウがフレームバッファへ直接書き込むようにはならないと書いてある。デスクトップを使わない実装にするには、DRM/KMSで描く仕組みと、evdevから読んで較正するタッチ入力を別に用意する必要があり、それは今のスクリプトの外だという。できていないことを、できていないまま置いてある。