Renault「Twizy」は2012年に登場した1人~2人乗りの超小型EVだ。シザーズドアに前後縦並びのシート、最高速度は約80km/hと、いわば「屋根付きの電動スクーター」に近い乗り物で、2023年に生産を終了した。
英DM Performanceが、このTwizyのモーターをまるごと取り外し、スウェーデン Stark Futureの電動モトクロスバイク「Stark Varg」のパワートレインに載せ替えた。同チームがYouTubeでビルドからテスト走行までの一部始終を公開している。
純正の出力は13kW(17馬力)。Stark Vargのモーターは約60kW(80馬力)で、出力は約5倍になった。タイヤを回す力(トルク)はLamborghini Aventadorの約1.4倍に達する。車重は450kg程度とスポーツカーの3分の1以下しかないため、加速時の体感はさらに強烈だ。
載せ替えにあたっては車体後部のモーター取り付け部を切り取り、純正のダイレクトドライブ(モーターが直接車軸を回す方式)をチェーンとスプロケットによる駆動に変更した。
工夫が光るのはデフ(左右の車輪の回転差を吸収する装置)の処理だ。デフを溶接して左右を完全に固定すれば直進時のトラクションは上がるが、曲がりにくくなる。DM Performanceはこれを避け、4インチのステンレスパイプでケースを自作して内部を高圧グリスで満たす方法を選んだ。グリスの粘り気が歯車に適度な抵抗を与え、通常のデフより駆動力が逃げにくく、かつハンドルも切れるという中間的な特性を狙っている。
バッテリーもStark Varg用に交換し、重さは純正の100kgから32kgへ約3分の1に減った。横転防止のためサスペンションも車高調整式に変更している。純正のメーターは速度を表示できなくなったため取り外し、ステアリングもスポーツ用に換装した。
ドリフト走行のテストでは、専用装備なしの状態で横滑り走行に成功した。DM Performanceは過去にCitroën Amiにも同じモーターを移植しているが、Twizyは後輪駆動のためドリフトとの相性がよかったとしている。