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ラズパイとPicoで植物の環境を監視、Webダッシュボードやスマートプラグ連携も備えた「RPi Gardener」

Raspberry Pi 4にはADC(アナログ-デジタル変換器)が搭載されていない。土壌水分センサーのようなアナログ出力デバイスを接続するには、外部ADCモジュールを追加するのが一般的だ。しかし、手元に使っていないRaspberry Pi Picoがあったらどうだろう。smallwat3r氏はPicoをADC代わりに活用し、温湿度と土壌水分を監視する植物モニタリングシステム「RPi Gardener」を構築した。

RPi Gardenerは、Raspberry Pi 4とPicoを組み合わせた植物環境監視システムだ。Picoは3つの静電容量式土壌水分センサーからアナログ値を読み取り、USBシリアル経由でRaspberry Pi 4にJSON形式でデータを送信する。Raspberry Pi 4側ではDHT22センサーで温度と湿度を計測し、両方のデータをリアルタイムでWebダッシュボードに表示する。

ソフトウェアスタックはDockerで構成され、7つのマイクロサービスがRedis pub/subで連携する。ダッシュボードでは履歴チャートの表示やしきい値の可視化が可能で、設定した範囲を超えるとメールやSlackで通知を送信できる。TP-Link Kasaスマートプラグとの連携機能も備えており、湿度が低下すると加湿器を自動でオンにするといった制御も可能だ。

ディスプレイはRaspberry Pi 4とPicoの両方に128×64ピクセルのSSD1306 OLEDを搭載し、ローカルで測定値を確認できる。アラート表示用に16×2キャラクターLCDを追加することもできる。

PicoをADCモジュールの代わりに採用した理由について、smallwat3r氏は複数の利点を挙げている。Picoには3つのADCピンと合計26のGPIOピンがあり、将来的に光センサーや水位センサーなどを追加する余地が十分にある。また、センサー読み取りを専用マイコンに分離することで、Raspberry Pi 4のアプリケーションがクラッシュしてもPicoは独立して動作を継続できる。さらに、Pico Wに置き換えればWi-Fi経由でデータを送信できるようになり、温室や庭など複数の場所に設置したPicoから1台のRaspberry Pi 4に集約する分散構成も実現できるという。

ハードウェアは2通りの構築方法を用意している。1つ目はRaspberry Pi HAT形式のカスタムPCBと3Dプリントケースを使う方法で、Picoを一体化したコンパクトな構成となる。2つ目はブレッドボードを使った手配線で、プロトタイピングに適している。PCBの製造ファイルと3Dプリント用STLファイルはGitHubで公開されている。

ソフトウェアはMITライセンス、ハードウェア(PCB設計)はCERN-OHL-P v2ライセンスで公開されている。今後は自動給水用のポンプ統合を検討しているという。

関連情報

rpi-gardener(GitHub)

越智 岳人

FabScene編集長。大学卒業後、複数の業界でデジタルマーケティングに携わる。2013年当時に所属していた会社でwebメディア「fabcross」の設立に参画。サイト運営と並行して国内外のハードウェア・スタートアップやメイカースペース事業者、サプライチェーン関係者との取材を重ねるようになる。 2017年に独立、2021年にシンツウシン株式会社を設立。編集者・ライターとして複数のオンラインメディアに寄稿するほか、企業のPR・事業開発コンサルティングやスタートアップ支援事業に携わる。 2025年にFabSceneを設立。趣味は365日働ける身体作りと平日昼間の映画鑑賞。