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ラズパイZero 2Wと光造形でカメラを自作——フィルムシミュレーション5種をオンデバイス処理

Yutani140x氏が1年かけて開発したラズパイZero 2W搭載のフルスクラッチ自作デジタルカメラ「SATURNIX」が、r/raspberry_piに公開された。ハードウェア、ソフトウェア、ケース、OS、UIまでをすべてゼロから設計している。

コアにはRaspberry Pi Zero 2Wを使い、Arducam IMX519(16MPオートフォーカス)とWaveshare製2インチIPSディスプレイ(320×240)を組み合わせた構成だ。RAW(DNG)とJPEGの同時記録に対応し、シャッタースピード30秒〜1/4000秒、ISO 100〜3200のフルマニュアル露出制御も実装している。オートフォーカスはAF-C(連続)、AF-S(シングル)、マニュアルの3モードに切り替え可能だ。

ソフトウェアのハイライトはフィルムシミュレーションエンジンだ。Kodak Goldをイメージした「S-Gold」(ウォームでクリーミーな色調)、コントラスト強めの「S-Vivid」、中間的な「S-Natural」、グレインを加えた白黒の「S-MonoX」、そしてスキャンラインと色収差でVHSテープを模倣する「VHS」の5プリセットを用意した。処理はすべてオンデバイスで行われ、外部アプリは不要だ。

ケースはSLA光造形で造形し、手でエアブラシ塗装してビンテージベージュに仕上げた。ボタンにはKailhの低プロファイルメカニカルスイッチを採用している。「エイリアン」や「ブレードランナー」、1980年代の工業用ハードウェアから影響を受けた厚みのある工業デザインで、Commodore 64との類似を指摘するコメントも多くついた。

現状の課題として、起動に約1分、1枚撮影に8〜14秒かかる点を本人が認めている。これはカメラパイプラインが撮影のたびにカメラを再起動する設計に起因しており、改善後は1.5〜2.5秒に短縮できる見込みだという。

GitHubリポジトリはすでに公開中で、ファームウェア(PythonコードはMITライセンス)とハードウェアデータ(STL、CC BY-NC-SA 4.0)は近日公開予定。RAWサンプルはGoogle Driveですでに公開されている。

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FabScene編集部

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