Categories: ニュース

デザインブランド「130」、3Dプリント製作品「Orbit of Calm」をDESIGNART TOKYO 2025で展示

デザインブランド「130」は2025年10月31日から11月9日まで開催されるDESIGNART TOKYO 2025の期間中、東京・渋谷のMEDIA DEPARTMENT TOKYOで新作インスタレーション「Orbit of Calm」を展示する。3Dプリント技術で1本のフレームを連続して立体構築する造形技術を用いた作品だ。

「Orbit of Calm」は、3Dプリント技術による立体格子構造を核に、光、身体、空間の関係を再考する体験型インスタレーションだ。「光の軌道の中で、身体の座標を描き直す」をテーマに、「Helio」と「Drift」の2作品で構成される。

DESIGNART TOKYO 2025での展示の様子(撮影:編集部)

130が採用する造形技術は、一般的な樹脂を層状に積み上げる方式とは異なる。透明な樹脂を棒状に射出してフレームのように組み合わせる独自の3Dプリント方式で、1本のフレームを連続して立体構築する。この技術により、軽量でありながら高い強度を持つ構造を実現している。同社はこの技術をContinuous Frame Construction(連続フレーム構築)と呼んでいる。

Helioは直径1mの放射格子ランプで、傾けたポールの上に据えられている。環境風によって緩やかに回転し、層状に重なる十字の光を360度に広げる。放射状に配置された連続格子が光を屈折・拡散し、空間に陰影を投げかける仕組みだ。

Driftは連続格子構造で再構築したシェーズロング(寝椅子)だ。クラシックな寝椅子の輪郭を保ちながら、3Dプリントによる連続格子構造で成型している。流れるようなプロファイルが身体を支え、視覚的な軽やかさとしなやかな支持感を両立させたという。人が座っても壊れない強度を持ち、表面にバリや毛羽立ちがない滑らかな仕上がりを実現している。

DESIGNART TOKYO 2025での展示の様子(撮影:編集部)

130の技術は100%再生可能な樹脂を使用し、モノマテリアル(単一素材)のため使用後は解体、粉砕、再フィラメント化して再製作できる。循環型ライフサイクルを物理的に実現している点も特徴だ。この技術はISSEY MIYAKEとの協業で開発したマネキンにも採用されており、従来品の約4分の1となる5kgの軽量化を実現した実績がある。

130は今年オンラインストアを開設し、連続格子構造を用いた家具やインテリア製品の販売もスタートしている。

加藤大直氏は1984年生まれで、米国ニューヨークのパーソンズ美術大学を卒業後、デザイナーとしてMckay Architecture/Design、Berm Design NYに勤務した。2011年に帰国後、RepRap Community Japanを共同創設し、国内初の3Dプリンター「atom」を開発した。オープンソース化し、3Dプリンターの開発・製造・販売を行うGENKEIを共同創業した。2017年3月からMagnaRectaに組織変更し、デジタルファブリケーションの産業ソリューションとデザインを提供している。2024年にデザインブランド「130」をローンチし、2025年4月にはミラノ・デザインウィークに出展した。

関連情報

プレスリリース

130オンラインストア

越智 岳人

FabScene編集長。大学卒業後、複数の業界でデジタルマーケティングに携わる。2013年当時に所属していた会社でwebメディア「fabcross」の設立に参画。サイト運営と並行して国内外のハードウェア・スタートアップやメイカースペース事業者、サプライチェーン関係者との取材を重ねるようになる。 2017年に独立、2021年にシンツウシン株式会社を設立。編集者・ライターとして複数のオンラインメディアに寄稿するほか、企業のPR・事業開発コンサルティングやスタートアップ支援事業に携わる。 2025年にFabSceneを設立。趣味は365日働ける身体作りと平日昼間の映画鑑賞。