オーストラリアのカーティン大学の研究チームが、3Dプリンターで製造された銃(いわゆるゴーストガン)に使われたフィラメントを赤外分光法で識別する手法を発表した。論文は学術誌Forensic Chemistryに掲載された。
3Dプリント銃はシリアルナンバーがなく、金属探知機をすり抜ける可能性もあるため、従来の鑑識手法では犯罪に使われた銃の特定が難しい。2024年10月にはオーストラリアの国境警備作戦で281点の3Dプリント銃または部品が押収されており、法執行機関にとって深刻な課題になっている。
研究チームはオーストラリアの小売市場で流通する60種類以上のフィラメントを収集し、ATR-FTIR(全反射減衰赤外分光法)とケモメトリクス(化学計量学)で分析した。PLA、ABS、PETGなどポリマーの種類が異なるフィラメントは化学組成の違いから容易に区別できた。さらに同じ種類のポリマーでも、添加剤の違いにより赤外線プロファイルに差異が見られるケースがあった。たとえばあるフィラメントからは相溶化剤(2種類のポリマーを混合しやすくする添加物)が検出され、同一ポリマーの他ブランドのフィラメントとの識別が可能だった。
この技術により、押収された3Dプリント銃と押収されたフィラメントの関連付けや、別の事件で押収された銃同士のつながりを化学的に立証できる可能性がある。ただし、すべてのフィラメントを識別できるわけではなく、研究チームは元素分析など他の分析技術も組み合わせた研究を進めている。
西オーストラリア州の法科学研究所ChemCentreとの共同研究で、非破壊的かつ一般的な鑑識ラボで利用可能な装置で分析できる点が実用上の強みだ。