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熱を迂回させ赤外線から物体を隠す3D装置、米大学が0.5mm格子で実証

米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校などの研究チームが、熱の流れを迂回させて物体を赤外線カメラから隠す3次元の装置を作り、実験で効果を確かめた。アルミ合金の格子を金属3Dプリンターで造形し、樹脂を流し込んで仕上げる。成果は2026年5月20日付でNature Communicationsに掲載され、大学が7月13日に発表した。

サーマルクロークと呼ばれるこの装置は、熱を遮るのではなく、物体の周りへ導いて逃がす。外から赤外線カメラで見ると、温度の分布は物体がないときと変わらず、中に何があるか読み取れない。理論そのものは以前から知られていたが、作るには熱の伝わりやすさを場所ごとに、しかも向きによって変えた材料が必要で、これまでの実験は平面か、熱が一方向から来る場合に限られていた。

研究チームは、太さの違う3本の角柱を組み合わせた格子を単位にして構造を設計した。3本の太さを変えるだけで、必要な熱の伝わりやすさを3方向それぞれに合わせ込める。格子は場所ごとに向きと太さを変えながら全体へなめらかにつなぐ。研究チームはその手法を開発し、複雑な形にも対応させた。

試作では、熱をよく通すアルミ合金のAlSi10Mg(熱伝導率113.0W/(m・K))で格子を金属3Dプリンターで造形し、最小0.5mmの細さまで再現した。すき間には熱を通しにくいシリコーンゴムのPDMS(同0.16W/(m・K))を型で流し込んだ。上下をアルミ板で挟み、上を40℃に熱して下を氷水で冷やし、60分後の温度分布を赤外線カメラで撮影した。

評価には、周囲の温度分布が本来の状態からどれだけずれたかを示す指標を使う。何も隠さない場合を1とすると、装置を使った場合は熱を上から加えて0.037、横から加えて0.079まで下がった。中に隠したリンゴ形の物体は温度がほぼ一様に保たれ、外の高温や低温から守られた。研究チームは、眼鏡をかけた男性の顔という複雑な形も設計し、球面調和関数で表面を近似して構造を作った。

論文にはイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のXiaojia Shelly Zhang氏、Weichen Li氏、Yibo Wang氏と、デンマークのデンマーク工科大学のOle Sigmund氏が名を連ねる。Zhang氏は、熱がどこから来ても働くのが本来のサーマルクロークであり、複雑な3次元の物体を無数の方向から隠しながら内部の温度を保てると説明する。研究チームは、電子部品まわりの精密な熱管理や、熱による検知からの保護といった用途を挙げる。次の段階として、内部で自ら熱を出す物体を隠せる装置を目指すとしている。

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FabScene編集部

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