電力インフラが整っていない地域では、救急車を走らせること自体が難しい。燃料の確保はもちろん、車載医療機器を動かすための電力も課題になる。その問題に正面から取り組んだのが、オランダ・アインドホーフェン工科大学の学生23名で構成されるSolar Team Eindhovenだ。
同チームが開発中の「Stella Juva」は、太陽光だけで走行しながら車載医療機器の電力も賄うソーラー救急車で、2026年7月に公道デビューを予定している。スクリーニング検査や応急処置を行える自律型の移動診療車として、NGOの医療ミッションでの活用を想定して設計された。
太陽電池は中国AIKO(愛旭)のABC(All Back Contact)セルを採用する。ABCとはセルの全電極を裏面に配置した構造で、表面に電極がないため光の取り込みロスが少なく、変換効率は24〜25%以上に達する。また一部が影になってもTOPCon型に比べて発電量の落ち込みが小さく、木や建物の陰が当たりがちな現場での使用に向いている。振動や機械的ストレスへの耐性が高い点も、路面の悪い遠隔地を走る救急車の用途に合致する。
Solar Team Eindhovenは世界ソーラーカーレース「World Solar Challenge」クルーザークラスを4連覇しており、走行距離に特化した競技用モデルを超えて実用的な太陽光モビリティに取り組み続けてきたチームだ。前作のStella Vitaはソーラーカーをキャンピングカーに、Stella Terraは世界初のオフロードソーラー車として注目を集めた。Stella Juvaはその延長として、医療アクセスという社会課題に焦点を当てた。
AIKOはCMOSイメージセンサー向け半導体から出発し、現在は太陽電池専業メーカーとして累計出荷量190GW以上の実績を持つ。