Arduinoが2025年11月11日、M5Stackと共同で開発したIoT開発キット「Arduino Nesso N1」を発表した。ESP32-C6を搭載し、Wi-Fi 6やBluetooth 5.3、Zigbee、LoRaなど複数の無線通信規格に対応する。1.14インチのタッチスクリーンやIMU(慣性計測装置)、赤外線送信機を内蔵し、充電式バッテリーで動作する。
Arduino Nesso N1は、スマートホームハブ、エッジコンピューティングノード、ウェアラブルセンサー、産業オートメーションシステムなど、さまざまなIoTアプリケーションに対応する開発キットだ。組み立て済みのハードウェアと堅牢な筐体により、機械設計の手間を省いてすぐに開発に取り掛かれる。
プロセッサにはESP32-C6を採用している。これは最大20MHzで動作する32ビットRISC-Vシングルコアプロセッサで、低消費電力での動作が可能だ。メモリは16MBのNORフラッシュと512KBのSRAMを搭載し、IoTアプリケーションに十分な容量を確保している。
無線通信機能は複数の規格に対応している。2.4GHz帯のWi-Fi 6、Bluetooth 5.3、802.15.4規格のThread 1.4、Zigbee 3.0、そして850から960MHz帯のLoRa(SX1262チップ使用)を搭載する。これにより、用途に応じた通信方式を選択できる。
ディスプレイには1.14インチのタッチスクリーンを採用し、2つのプログラマブルボタンと1つの電源・リセット・ブートボタンを備える。センサー類としては、6軸IMU、赤外線送信機、パッシブブザー、RGB LEDを内蔵している。
拡張性も考慮されている。USB Type-Cポートに加え、GroveコネクタとQwiicコネクタを各1つずつ搭載する。これによりArduinoのModulinoノードやM5Stackのセンサーモジュール、その他のQwiic互換モジュールを接続できる。
電源はリチウムポリマーバッテリーを内蔵し、5V入力で充電する。本体サイズは18mm×45mmで、ポケットに入るコンパクトな設計だ。
Arduino Cloudに対応しており、遠隔制御やデータの可視化が可能だ。これにより、センサーデータの収集や機器の監視をクラウド経由で実行できる。
開発環境はArduino IDE、MicroPython、UIFlowの3つから選択できる。これにより、初心者からプロフェッショナルまで、慣れた環境で開発を進められる。
用途例としては以下が挙げられている。スマートホームでは、中央ハブとして機能したり、赤外線リモコン機器をネットワーク接続デバイスに変換したりできる。産業オートメーションでは、機器の監視と制御、センサーデータの収集、予知保全システムの構築に活用できる。農業分野では、土壌センサーや気象センサー、灌漑システムを接続した精密農業や環境モニタリングが可能だ。教育や研究分野では、リアルタイムデータ収集や複数プロトコルに対応したIoTプロトタイプの構築に利用できる。
同製品は既にArduinoの公式ストアで販売されている。日本ではスイッチサイエンスが8800円(税込)で販売予定であることをアナウンスしている。