米Ateios Systemsは2026年10月1日、インディアナ州ニューベリーの拠点に、年間50MWh分の電池電極を作れる塗工ラインを設置し、稼働を始めたと発表した。リチウムイオン電池の電極づくりに欠かせなかった溶剤と乾燥炉を使わず、電子ビームで電極を固める。電極はすでに出荷しており、出荷先は家電、防衛、航空宇宙、モビリティの各分野だという。
リチウムイオン電池の電極は通常、活物質(電気をためる材料)と結着剤を溶剤に溶かした泥状の材料を金属箔に塗り、乾燥炉で溶剤を飛ばして作る。Ateiosの方式「RaiCure」は、溶剤の代わりに電子ビームで固まる液体の樹脂を使う。従来と同じように塗ったあと、電子ビームを短時間当てると、樹脂の分子がつながって数秒で電極になる。同社は、半導体の製造で感光性の樹脂を光で固める工程に近いと説明している。
結着剤の量は1%未満で済み、粒子同士や金属箔との結び付きも強くなるという。新しいラインは、幅300mmの電極を毎分30mの速さで塗れる。同社によると、塗工の量は溶剤を使うラインの約5倍になる。
同社は性能面で、面積あたりの容量を1平方センチメートルあたり6〜8mAhまで高めた電極を顧客に出荷した。従来のフッ素系の結着剤を使う電極と比べて電気の通りやすさは2倍で、4.2Vを超える高い電圧でも安定するため、同じ活物質から取り出せる容量は20〜30%増えるという。同社が扱う材料はコバルト酸リチウムやリン酸鉄リチウム、三元系、黒鉛で、シリコンやナトリウムイオンなどへの対応も進める。
供給網の面では、第三者機関のIntertekが、同社の電極に含まれる有機フッ素化合物(PFAS)が20ppm未満であることを確かめている。同社は、米国防権限法(NDAA)が定める2027年1月1日の期限に備え、「懸念される外国の事業体(FEOC)」に当たらない調達先もそろえた。また、顧客が試作の塗工を2〜4週間で試せる体制も整えた。従来は3〜6カ月かかっていたとしている。