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Bambu Lab H2C国内発売開始、実機で見たホットエンド自動交換の速さとパージ削減効果

Bambu Labのマルチカラー3Dプリンター「H2C」の国内販売がスタートした。公式ストアに加え、国内の販売代理店でも取り扱いが始まり、日本でも本格的に導入できる環境が整いつつある。

H2C最大の特徴は、独自のホットエンド交換システム「Vortek」によるノズルチェンジ機構だ。FFF方式のマルチカラー3Dプリンターでは、フィラメント交換のたびにノズル内部に残った材料を押し出す「パージ」が必要となる。色数が増えるほど廃材も増え、従来機では材料コストと造形時間の両面が課題となっていた。

H2Cはこの問題に対し、複数素材でノズルを共有せず、「ホットエンドごと交換する」というアプローチで応えたモデルである。造形サンプルやツールチェンジャーの動作、Bambu Studioでの設定方法など、気になるポイントをAPPLE TREE主催の体験会で取材した。

フィラメント切り替えの新アプローチ「Vortek」

Bambu Lab H2C。AMS HTとAMS 2 Proが接続されている。

H2シリーズの最新モデルH2Cは、その名の通り「Color=多色造形」がポイントだ。これまで複数色の造形を行う場合、色を切り替える際、2色が混ざらないよう多くのパージ※が必要となり、同じノズルを使う限り、この課題は避けて通れないものだった。

※ノズル内の古い材料(フィラメント)や異物を吐き出して除去する動作。パージの回数や除去量が増えると、フィラメントを多く消費する要因になる。

H2Cに採用された「Vortekホットエンド交換システム」では、筐体内に最大6基のホットエンド(フィラメントを融解する部品)を収納できるラックを搭載。前回利用したフィラメントの情報を保持したノズルを、色の切り替えに合わせて自動で付け替えていく。

ツールチェンジャーの動きは俊敏だ。工業機械らしさはありつつも、小さなロボットが働いているような愛嬌もある。

ツールチェンジャーに格納されたホットエンドの上端を見ると、直前に使用されたフィラメントが上部でカットされているのがわかる。同じフィラメントを送り出す場合、混色を避ける必要がなく、切断された先端部分のみをパージすれば切り替えが可能になるため、パージ量は大幅に削減される。

一方で、ひとつのノズルで2色以上を扱う場合(一度の印刷で8色以上使う場合)は、従来方式と同様のパージ構造となる。色数に応じてAMS※も必要になるため、目的に合わせた構成を想定しておくと良い。

※自動フィラメント供給・管理システム。複数のフィラメントを自動で切り替え、マルチカラー印刷や複数種類の素材(サポート材など)を効率的に使えるようにする装置

割り当てはBambu Studioで簡単に

公式サイトより引用

H2Cの出力部は左右で分かれており、左側は固定ノズル、右側のみがツールチェンジャーに対応している。なお現時点では、左右で異なるノズル径を使うことはできない。

H2Cの設定は他のBambu Lab製品と同様、「Bambu Studio」で行う。最新版のファームウェアに更新し、機種にH2Cを選択すると、出力エリアに「Left nozzle only area」が表示される。ツールチェンジに対応した右側ノズルでは、印刷エリアが一部制限される点には注意が必要だ。

ノズルの割り当ては自動で最適化されるが、ユーザー側で手動設定することも可能。メインで利用する素材は左側ノズル、それ以外は右側ノズルに割り当てるのが基本的な使い方になるだろう。

もちろん、同じ素材で色を替えるだけでなく、硬さや耐熱性など素材特性に応じた設定も可能。それぞれのパージ量が減ることは、印刷トラブルの減少にもつながるだろう。

色を使うか、造形サイズを取るか

多色造形のサンプル。印刷クオリティはFFF機として申し分ない。

H2シリーズの最新モデルとして登場したH2C。使いやすさはそのままに、マテリアル切り替えの安定性と速度を向上させている。

価格の近い機種H2D(2025年4月から販売開始)と比較すると、ツールチェンジャーを搭載した分、X軸方向の造形サイズがわずかに小さくなっている(H2Dは350mm、H2Cは330mm)。

「カラーを使う予定があるならH2C」「単色大型造形がメインならH2D」と割り切って選ぶのが、いちばんわかりやすい選択基準になるだろう。

H2CはBambu Lab公式ストアおよび各種代理店にて販売中だ。

淺野義弘

ライター/編集者。大学で3Dプリンターと出会いものづくりの面白さに目覚め、デジタルファブリケーションの世界へ。卒業後、研究員として2年半ほど従事したのち、ものづくりを中心としたライターとして独立。 2023年には墨田区でファブ施設「京島共同凸工所」の運営をスタート。文章と場づくりを行き来しながら、街での生活を満喫している。工房での日々を綴った自主制作本「京島の十月」が販売中。