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米カーネギー・メロン大がLLMで3Dプリントを自律制御、人間を上回る欠陥検出精度を実証

米カーネギー・メロン大学の研究チームが、大規模言語モデル(LLM)を使って3Dプリントプロセスを監視・制御するフレームワークを開発した。人間の専門家と同等以上の精度で欠陥を検出し、自律的に修正パラメーターを決定する。学術誌Additive Manufacturingに2025年9月25日掲載された。

従来の機械学習手法は大量のラベル付きデータセットと特定タスク向けの訓練が必要で、異なるプリンターやセンサー構成への汎化が困難だった。研究チームはGPT-4oを使用し、ファインチューニングなしでin-context learning(文脈内学習)のみで動作するシステムを構築した。

システムは各レイヤー印刷後にプリンターを一時停止し、上面と前面から2枚の画像を撮影。LLMがこれらの画像を分析して印刷品質を評価し、欠陥を特定する。問題を検出すると、プリンターのAPIを通じて関連パラメーターを照会し、原因を診断して修正プランを生成。次のレイヤーから自動的に改善された設定で印刷を継続する。

フレームワークは7つのモジュールで構成される。画像ベースの推論モジュールが欠陥を検出し、2つのプランニングモジュールが情報収集と解決策を立案。3つの実行モジュールがプリンターと直接通信して修正を適用する。スーパーバイザーモジュールが全体を統括し、各エージェント間の連携を調整する。

研究チームは異なる経験レベルの14人のエンジニアによる評価と比較した。LLMはストリンギング、under-extrusion、層分離、反りなどの主要な欠陥を高精度で識別し、専門家と同等の診断能力を示した。注目すべきは、LLMが人間の専門家より早期に層分離の兆候を検出したケースがあり、予防的コントローラーとしての価値が確認された。

汎用性を検証するため、Creality Ender 5 PlusEnder 3という異なるセンサー構成の2台のプリンターで実験を実施。どちらでも良好な結果が得られ、ハードウェア間の適応性が実証された。

機械的性能も大幅に向上した。圧縮試験では、正方形構造で5.06倍、六角形構造で1.60倍、半球構造で1.34倍、オーセティック構造で2.46倍の最大荷重向上を記録。ベースライン印刷物は早期破損と不安定な荷重変位特性を示したのに対し、LLM最適化品は高い荷重に耐え、予測可能な破損パターンを示した。

システムは1レイヤーの処理に15~45秒を要する。故障の複雑さとAPI エンドポイントの特定成功率によって処理時間が変動する。レイヤー間隔を広げることで、LLM呼び出し頻度を削減できる。

現在の限定事項として、初期レイヤーで発生するエレファントフット(底面レイヤーがビルドプレートからの熱と圧力で膨らむ現象)や、冷却後に顕在化する亀裂には対応できない。ゴースティング(リンギング)はプリンターフレームの振動に起因するため、パラメーター調整では解決困難だ。また、部品形状がテキスト記述のみで提供されるため、LLMは明示的な空間コンテキストを持たない。

今後の展開として、2Dまたは3D参照形状の提供、サーマルカメラによる温度分布データの統合が検討されている。LLMの推論能力とマルチモーダル統合の向上により、幾何学的偏差と熱的側面の両方を考慮したリアルタイム制御が可能になると期待される。

研究チームのAmir Barati Farimani氏は、ファインチューニングや大規模データセットなしで動作する点を強調。従来の深層学習手法が限定的な故障モードにしか対応できないのに対し、LLMは幅広い欠陥を検出し、原因をプリンターパラメーターに帰属させて修正アクションを提案できる。スケーラブルで解釈可能、かつ適応性の高い品質管理への移行を示している。

関連情報

LLM-3D print: Large Language Models to monitor and control 3D printing

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FabScene編集部

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