ディズニーリサーチとスイスのETH Zurichの共同研究チームが、四足歩行ロボットが滑りやすい路面や不安定な地形でも正確にバランスを保つための新しい技術を発表した。研究成果は2026年5月14日、論文プレプリントサーバーarXivで公開された。
四足歩行ロボットが歩くとき、制御システムは「足が今地面に触れているかどうか」を常に把握している。従来の方法はこれを0か1の二択(接触or非接触)で判断していた。しかし現実の地面は複雑で、石の上に片側だけ乗っている状態や、滑りながら接触している状態では、「触れているが信頼できない接触」という中間の状態が頻繁に起きる。この二択の限界が、動きの速い四足ロボットや複雑な地形でのバランス崩れにつながっていた。
研究チームが提案する「CoCo-InEKF」は、足の接触を「完全に信頼できる」から「ほぼ信頼できない」まで連続的な確率値で表現する。この確率値は機械学習で学習した値で、接触方向や滑りの度合いに応じて動的に変化する。これをセンサーノイズを取り除いてロボットの現在位置・姿勢をリアルタイムで推定する数学的手法(インバリアント拡張カルマンフィルター)と組み合わせることで、部分的な接触や方向によって異なる滑り(縦方向には踏ん張れるが横方向には滑る、など)をより正確に扱えるようになった。フィルター全体を微分可能な構造にしたことで、接触の信頼度を表すパラメーターをエンドツーエンドで学習できる点も特徴だ。
今後の四足・二足ロボットの開発では、こうした状態推定の精度がさらに重要になる。ディズニーリサーチは映画や施設向けの歩行ロボット(BDXドロイドなど)を開発しており、この技術は不整地での俳優型ロボットの安定性向上にも直結する。また、既に市販されているような四足ロボットプラットフォームへの応用も期待される。