Categories: ニュース

約1km先の物体の内部構造をX線で解析、DARPAがRTXにXENAプログラムの契約を発注

米国防高等研究計画局(DARPA)は2026年2月25日、「XENA(X-ray Extreme-range Non-imaging Analysis)」プログラムの下、米防衛大手RTX傘下のBBN Technologiesに開発契約を発注したと発表した。目標は、約1km先に置かれた人工物の内部形状を、X線を使って再構成するシステムの構築だ。

現行のX線検査は医療や空港のセキュリティで広く使われているが、その多くは対象に近接して照射する必要がある。XENAが目指すのは、接近できない・接近が危険・立ち入りが禁じられた状況でも、遠方から対象物の形状情報を得ることだ。軍事用途では、隠された脅威や武器、構造的な脆弱性を、安全な距離から把握する手段として活用が想定されている。

技術的な鍵は、不完全または不均一なデータからでも物体の形状を高精度に復元できる数学的モデリングと画像解析アルゴリズムにある。大量の学習データを必要としないアプローチを採用しており、従来の機械学習ベースの手法とは異なる方向性で設計されている。BBN Technologiesはシミュレーション、ソフトウェア開発、実証テストをマサチューセッツ州ケンブリッジとジョージア州アトランタで進め、ジョージア工科大学もチームに参加している。

BBN Technologiesは1948年創設の研究機関で、ARPANETや電子メールの初期開発にも関わった実績を持つ。量子暗号を使った最初のメトロネットワーク構築など、基礎研究から実用化まで幅広く手掛けており、DARPAとの共同研究の経験も豊富だ。今回のXENAもその延長上にある。

遠距離X線解析のアルゴリズムは、将来的には製造分野の非破壊検査や品質管理への応用も視野に入る。部品を分解せず、距離を置いて内部の欠陥や構造を把握する技術は、工場ラインや大型構造物の保守点検でも需要があり、軍事研究が民間技術の裾野を広げる例になる可能性がある。X線イメージングのアルゴリズム研究は、スキャンデータの精度向上や処理速度の改善という点で、医療診断や製品検査の分野にも直接的に貢献しうる基盤技術でもある。

関連情報

FabScene編集部

FabScene編集部