Raspberry Piをベースにしたモジュール式IoT拡張システム「Edgeberry」がオープンソースプロジェクトとして公開されている。開発者のSanne Santens氏が、長年のRaspberry Piプロジェクトで繰り返し直面した問題を解決するために開発した。ベースボード、ケース、拡張カード、管理ツールで構成され、試作品から実際の運用までをスムーズに進められる。
Santens氏は何年もの間、さまざまなセンサーを取り付けたRaspberry Piを各所に設置してきた。その過程で、安定した電源の確保、Raspberry Piをケースに固定する作業、配線、接続不良のトラブル対応、遠隔管理ツールの開発など、同じような作業を繰り返していることに気づいた。
そこでSantens氏は、これらの共通部分をまとめた拡張ボードを作ることにした。「Edgeberryは、私にとってIoTのアイデアを形にするための土台です」とSantens氏は説明する。
Edgeberryは、Raspberry Piを堅牢で適応性の高いIoTエッジデバイスに変えるモジュール式拡張システムだ。HAT形式のカスタムボード、3Dプリント可能なエンクロージャー、ステータスLEDやブザーなどのユーザーインターフェース要素、アプリケーション固有の電子機器用のハードウェアカートリッジスロットを組み合わせている。Raspberry Piの大半のI/Oピンはそのまま使える。
Edgeberryは完全にオープンソースで、GitHubで無料公開されている。設計には、KiCadやFreeCADといった無料のソフトウェアが使われている。自分で拡張カードを設計したい場合は、用意されているテンプレートを使える。
実際の使用例として、Santens氏は爬虫類や両生類の飼育環境を管理する「Freya Vivarium Control System」で使われていることを挙げている。また、研究開発の現場では、エンジニアが電源や固定方法を気にせず素早くアイデアを試せるツールとして採用されている。学校では、配線が外れやすいブレッドボードの代わりに、学生がIoTの仕組みを実践的に学ぶために使われている。
Edgeberryは、2024年11月にRaspberry Pi財団から「Powered by Raspberry Pi」認証を受け、2025年3月にオープンソースハードウェア認証を取得した。2024年12月からは中国のElecrowが製造を担当しており、自作しない場合はElecrowから組み立てキットや追加の拡張カードを購入できる。
プロジェクトは完全に無料で、有料版は存在しない。プロジェクトの運営は、GitHub Sponsorsを通じた寄付で支えられている。