ロボットハンドによる繊細な物体操作は、長年の技術的課題だ。生卵のような壊れやすい物体を適切な力加減で掴むには、高価な触覚センサーシステムが必要とされてきた。
New York Universityの研究チームが、この状況を変える可能性のあるプロジェクト「eFlesh」を発表した。3Dプリンターと市販部品で製作できる磁気式触覚センサーで、設計ファイル、コード、学習済みモデルをすべてオープンソースで公開している。
eFleshは、TPUフィラメントで3Dプリントした構造体の中間層に磁石グリッドを埋め込んだ構造だ。物体との接触により磁石が変位し、下部に配置した磁力計でその変化を測定する仕組みとなっている。
製作に必要なのは、家庭用3Dプリンター、TPUフィラメント、市販の磁石(5ドル未満)、磁力計基板の4つだけだ。3Dプリント中に一時停止して磁石を挿入するだけで、ユーザーの作業時間は1分未満で済む。研究チームは、CADモデルからeFlesh用STLファイルへの変換ツールも提供している。
センサーの性能は、接触位置精度0.5mm、Z軸方向の力予測誤差0.27N、XY平面での力予測誤差0.12Nを実現している。機械学習ベースの滑り検出モデルは、未知の物体に対しても95%の精度で滑りを検出できる。
研究チームは、カードスワイプ、プラグ挿入、USB挿入、ホワイトボード消しといったサブミリ精度が必要な自律タスクでeFleshを実証した。プロジェクトサイトで公開されている動画では、生卵を掴んで操作する様子も確認できる。視覚のみのベースラインと比較して、視覚触覚制御ポリシーは操作性能を40%向上させたという。
研究チームは、触覚ロボットセンシングと操作の民主化を目指し、プロジェクトサイト(e-flesh.com)でSTLファイル、GitHubでコード、Google Driveで3Dモデルを公開している。磁力計基板も購入可能だ。
eFlesh Project Site
ArXiv論文
GitHubリポジトリ