カインズが2026年2月12日、組み立て式生ごみ処理容器「Fab de キエーロ」の販売を開始した。価格は3万8500円(税込)。電気も水も使わず、黒土の微生物で生ごみを分解する仕組みだ。
個人発明家の30年以上にわたる活動が、ファブラボと大学の協力で全国展開できる製品になった。
キエーロの考案者は、神奈川県葉山町在住の松本信夫氏だ。約15年前、子ども用の砂場に落ち葉と生ごみを埋めたところ、数日後に消えていた。臭いもなく、虫も寄ってこない。これがキエーロの原型となった。
松本氏は自らDIYで木枠型の容器を製作し、これまでに1500台を製作した。しかし個人活動には限界があった。「庭がないと設置が難しい」「黒土が重く輸送が大変」「一人での製作では需要に追いつかない」。
2024年、ファブラボ鎌倉代表の渡辺ゆうか氏が「デジタル技術で、誰もが自分の手でキエーロを作れるようにしよう」と提案した。プロジェクトはファブラボ鎌倉、慶應義塾大学SFC田中浩也研究室、キエーロ葉山、カヤック、カインズの5者で動き出した。約1年の開発で完成した「Fab de キエーロ」は、プラモデルのように組み立てられる。デジタルファブリケーション技術で再設計し、従来の課題を解決した。
電気・水・専用菌は不要で、透明ふたと通気構造で臭いや虫の発生を抑える。ベランダにも設置しやすく、組み立て後は自由に塗装できる。
カインズが2024年から始めた「クリエイターズデザイン」という仕組みで販売される。カインズが製造・販売のバックオフィス業務を引き受け、クリエイターが創作に専念できるサービスだ。
このプロジェクトは、オープンデザインとローカル生産の実践例だ。個人の発明がデジタル化され、誰でもアクセスできる形で全国展開される。ファブラボの「データは共有し、製造は地域で」という理念が、生ごみ処理という身近な課題で実現した。
なお、自治体によっては購入に助成金が出る場合がある。
組み立て式生ごみ処理容器「Fab de キエーロ」「CAINZ DIY MARKET」で2月12日から販売開始(カインズ)