欧州連合(EU)の宇宙計画機関(EUSPA)は2026年9月17日、EUの衛星測位システム「Galileo」で、偽の電波にだまされない位置の計算に民生用として初めて成功したと発表した。試験では、偽の電波を浴びた一般的な受信機が実際とは違う場所を表示するなか、新しい仕組みに対応した受信機は正しい位置を保ち続けた。
GalileoはGPSと同じく、複数の衛星から届く電波を受けて現在地を求める。偽の電波を送って受信機に間違った位置や時刻を計算させる攻撃は「スプーフィング」と呼ばれ、EUSPAによると航空や海運で被害が出ている。
受信機は位置を求めるのに2種類の情報を使う。1つは衛星が送ってくる軌道や時刻などのデータ、もう1つは電波が届くまでの時間から割り出す衛星までの距離だ。Galileoは2025年、前者のデータが本物かを確かめる仕組み「OSNMA」の運用を始めていた。今回試した「SAS」は、後者の距離の測定が本物の衛星の電波によるものかを確かめる。2つを組み合わせることで、位置の計算に使う情報をすべて確かめられる。
SASでは、衛星が送る電波の一部を暗号化しておく。受信機は受け取った電波をデジタルデータとして記録しておき、数秒後に衛星から送られてくる鍵と、事前に取得しておいた認証用の情報を使って本物かどうかを確かめたうえで、位置を計算する。受信機に秘密の鍵を保管しておいたり、地上の通信回線で常に支援を受けたりする必要がない点が、軍用の仕組みとの違いだという。
試験は2026年9月16日の2時間、5機の衛星を使った。試験の多くは、ノルウェーのアンドイ島で実際の電波を使って妨害や偽装を試すイベント「Jammertest」の会場で実施した。偽の電波にだまされた一般的な受信機は、位置が山の上へ飛び、そこから町へ向かって動いていくように表示した。SASに対応した受信機は攻撃を検知し、本物の衛星の電波だけを使って正しい位置を示し続けた。EUSPAは今後、ほかの衛星も加えて試験を続け、2027年にSASの初期サービスの開始を宣言する予定だ。