Googleの日本語入力開発チームは2025年10月1日、回転動作で文字を入力するダイヤル式キーボード「Gboard ダイヤルバージョン」を発表し、同デバイスを自作できる設計図をGitHubでオープンソースとして公開した。101個のキーを持つ標準的な「101キーボード」にちなみ、10月1日に発表された。
このキーボードは、従来の「押す」「叩く」という動作から「回転」による入力方法へと発想を転換したもの。円形のキーホールに指を差し込み、ダイヤルを回転させて文字を選択する仕組みで、電話機のダイヤルと同様に、文字入力後は自動で定位置に戻る。
技術的な特徴として、メインの文字キーダイヤルを3重に配置することで、キー数増加による大型化と回転速度の低下という課題を解決している。この構造により、従来比3倍の高速化と並列入力を可能にしたという。ファンクションキーやカーソルキーは独立したダイヤルとして配置され、エンターキーは通常のキーと同じ押し込み式を採用。数字キーは電話機と同じダイヤル式を採用している。
設計図はGitHubの「mozc-devices」リポジトリ内で公開されており、3Dプリンター用のデータも含まれているため、自宅の3Dプリンターで部品を出力して製作できる。技術的には、回転角度をUSB信号に変換する仕組みで、メカニカルな触覚フィードバックとデジタル信号を組み合わせたハイブリッド設計となっている。両手入力にも対応し、ダイヤルの戻りを途中で止めることでタイプミスを防ぐ機能も備える。
今後の展開として、カラーバリエーション、カスタムカバー、マウススタンド、カールコードなどの拡張機器のほか、DJエディション、ペットエディション、大神楽エディション、さらにチームコーディング用のターンテーブルエディションなども検討されている。マウススタンドは保留機能として動作し、マウスを電話の受話器のように載せると、ビデオ通話時にカメラが自動的にオフになり、オルゴールのメロディが流れる仕組みとなっている。
Gboardチームは毎年10月1日に実験的なコンセプトキーボードを発表しており、2021年の「湯呑みバージョン」、2022年の「棒バージョン」、2023年の「帽バージョン」、2024年の「両面バージョン」に続く第5弾となる。これらのプロジェクトは、日本語入力の新しい可能性を探求する試みとして、設計図や製作方法を含めてオープンソースで公開されている。
製品としての販売予定はないものの、Makerにとっては、レトロな電話機の操作感と最新の日本語入力技術を組み合わせたユニークなプロジェクトとして楽しめる内容となっている。