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ラズパイPico搭載の教育用ロボットキット、実践的なエンジニアリング学習を目指す

米国ワシントン州のTakamori Robotが、「H.I.R.O.」(Highly Interactive Robotic Organism)と名付けた教育用ロボティクスキットを開発し、クラウドファンディングで資金調達を開始した。このキットはRaspberry Pi Pico Wをベースとした歩行ロボットを組み立てながら、実践的なエンジニアリングスキルの習得を目的としている。

H.I.R.O.は基本的な電子工学、モーターやセンサーの制御、プログラミング、BluetoothやWi-Fi通信といった幅広い技術分野を学習できる構成となっている。プログラミングには「Arduino IDE」を使用し、オープンソースのArduinoコミュニティが蓄積したライブラリやドキュメントを活用できる。

実践的学習を重視した設計

同梱されるパーツ一式現時点での使用に基づいた構成であり出荷時と若干異なる可能性があるという画像出典元kickstarter

開発者のJoseph Casebeer氏は、学生時代にLEGO Mindstormsを使った学習経験から、より実践的なスキルを身につけられる教材の必要性を感じていたという。同氏によると、LEGO Mindstormsは問題解決や協働作業の入門としては優秀だが、プログラミングや電子部品の組み込み作業が抽象化されすぎており、実際のロボット製作に必要な技術的スキルを習得できなかったとしている。

H.I.R.O.は8つの9mgサーボモーターを使用した脚部機構により、動物の歩行パターンを模した移動が可能だ。各脚が地面に接地する順序を制御しながら前進することで、足を地面に擦らない自然な歩行動作を実現している。

キットには「Raspberry Pi Pico」1個、ロボット脚部品1セット、ロボット制御基板1個、超音波距離センサー1個、3.7V 2000mAhリチウムポリマーバッテリー1個、10個の9mgサーボ、各種LEDと抵抗器、ジャンパーケーブルが含まれる。

モジュラー設計で拡張性を確保

H.I.R.O.の特徴の1つはモジュラー設計だ。中央のプリント基板は平面的に設計されており、後から追加レイヤーを積み重ねることで、AIやコンピュータビジョンなどの機能を追加できる構造となっている。これにより、初心者から上級者まで、スキルレベルに応じた学習や開発が可能になる。

Takamori Robotは20代の若者で構成されるスタートアップで、借用した3Dプリンターと限られた資金でプロジェクトを進めている。同社は学生やメーカー向けに、理論と実践を橋渡しする手頃な価格のモジュラーロボティクスキットの提供を目指している。

現在はプロトタイプが完成し、歩行テストも成功している段階で、製品化に向けたプリント基板の設計とバッテリー管理システムの統合を進めている。

関連情報

H.I.R.O.- A Modular Robotics Kit For Real Engineering Skills

FabScene編集部

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