Indian Motorcycleは、レース仕様のツーリングバイク「Challenger」で米国ユタ州のボンネビル・ソルトフラッツにて速度記録に挑戦し、2回走行の平均時速194.384マイル(約313km)を記録した。2000ccクラスでアメリカンモーターサイクル協会(AMA)の新記録を樹立し、1972年以来53年間保持されていた記録を更新した。
記録挑戦はIndian MotorcycleがS&S Cycle、Mission Foodsと共同で実施した。King of the Baggersで2度のチャンピオンに輝いたTyler O’Haraがライディングを担当した。
1回目の走行で時速192マイル(約309km)を記録し、1967年にBurt Munroが1920年製Scoutで達成した時速191マイル(約307km)を上回った。調整を経た2回目の走行では時速196.576マイル(約316km)を記録し、2回の平均速度が時速194.384マイルとなった。
従来の記録は1972年にJ. AngererがTriumphで樹立した時速169.828マイル(約273km)だった。
使用車両はKing of the Baggersレース仕様のChallengerをベースとし、S&S Cycleが改造を担当した。112 ci PowerPlus V型2気筒エンジンは標準状態で126馬力を発生する。
改造内容は以下の通り。スロットルボディの大型化、シリンダーヘッドのポート加工、2イン2アウト排気システム、レース用カムシャフト、圧縮比の向上、クランクシャフトの交換、排気系の流量最適化を実施した。車高を下げ、リーンアングルが不要な設定とし、サドルバッグとフェアリングを狭めて空力効率を向上させた。燃料タンクをクラス規定に適合させ、ライダーがフェアリング後方に体を収められる形状に変更した。高オクタン燃料に対応するため圧縮比を引き上げ、ランドスピード用のDunlopタイヤを装着した。
足回りには鍛造ホイール、Bremboブレーキ、43mm Öhlins FGR250フォーク、Öhlins TTXモノショックを採用。ボディはタンク、フェアリング、ウインドスクリーン、サドルバッグをカーボンファイバー製とした。
車両重量は約600ポンド(約272kg)。最終的な出力は公表されていないが、約150馬力、150lb.ft(約203Nm)のトルクを発生すると推定される。
O’Haraは走行について「6速に入れ、グリーンフラッグを受け取り、可能な限り速く走ろうとする。バイクは左右に動き、頭では減速すべきだと言うが、直感ではそのまま行けと言う。不快で危うく、そしてフィニッシュラインを通過する」と説明した。
Indian Motorcycleの製品技術・レース・サービス担当副社長Gary Grayは「ボンネビルはIndian Motorcycleだけでなく、すべてのモータースポーツにとって神聖な場所だ。エンジニアとS&Sのパートナーは何十年もソルトフラッツで速度を追求してきた。King of the BaggersのChallengerで何ができるか試すことについて長年話し合ってきた。記録を破ったことを誇りに思うが、この取り組みはランドスピード記録を樹立すること以上の意味がある。先人の伝説に敬意を表し、可能な限り速く走ることに挑戦することだった」と述べている。
Indian Motorcycleは1901年設立で、レースでの支配的な成績、エンジニアリングの卓越性、数々の革新と業界初の技術により、アメリカを代表するブランドの1つとして評価されている。
Tyler O’Hara sets new AMA speed record aboard Indian Challenger – Indian Motorcycle