中国のHangmo Robot(杭模機器人)が、カメラとレーザーレーダーで2.5m先の地形を検知し、歩行に合わせてリアルタイムでアシスト力を調整する下肢用エクソスケルトン「IRMO M1」を開発した。現在Kickstarterで支援を募っている。
登山やトレッキングで膝への負担に悩む人は多い。特に下り坂では体重の数倍もの衝撃が膝関節にかかる。IRMO M1は、この問題に対してAIとセンサー技術でアプローチする装着型ロボットだ。
IRMO M1の特徴は、本体に搭載したカメラとLADAR(レーザーレーダー)による地形認識機能にある。120度の視野角を持つカメラで前方2.5mの範囲をスキャンし、階段や坂道、岩場などの地形変化を事前に検知する。9軸IMU(慣性計測ユニット)と独自開発のHMoCSシステムにより、ユーザーの動作意図を分析し、一歩踏み出す前にアシスト力を調整するという。
膝関節部分には「Flexmo」と呼ばれる動的バランス機構を採用。着地時の衝撃を最大60%吸収し、膝への負担を軽減する。上り坂では45%の膝サポートを提供し、疲労の蓄積を抑える設計となっている。
本体フレームにはカーボンファイバーを使用し、片足あたり約1kg、両足で約2kgの重量に抑えた。関節部分は0〜145度の可動域を確保しており、歩行だけでなく座位や自転車走行にも対応する。最上位モデルのM1 Ultraは1000Wモーターを搭載し、IP67相当の防水性能と-20℃〜40℃の動作温度範囲を備える。
バッテリー駆動時間は最大8時間。下り坂歩行時の運動エネルギーを電力に変換する回生充電機能により、エネルギー効率を50%向上させたとしている。バッテリーはホットスワップに対応し、予備バッテリーとの交換で連続使用が可能だ。
動作モードは4種類を用意。最大出力の「Turbo」、省電力の「Eco」、筋力トレーニング用に負荷をかける「Training」、アシストを停止する「Rest」を、スマートフォンアプリから切り替えられる。アプリでは歩数や移動距離、姿勢データも記録できる。
製品ラインナップは、エントリーモデルのM1 Neo(399ドル〜、約6万円)から、フル機能のM1 Ultra(1249ドル〜、約19万円)まで4機種を展開。開発元のHangmo Robotは2022年設立で、エクソスケルトンロボットの研究開発と商業化を専門とする企業だ。ヒューマノイドロボット向けの関節技術や制御システム、AI大規模モデルの開発にも取り組んでいる。
製品の出荷は2026年5月を予定している。