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金沢大がモーター1個で動くロボットハンド開発、重力でグリッパーを切り替え

金沢大学の西村斉寛助教らの研究チームが、1個のモーターで複数のグリッパー(物をつかむ装置)を切り替えて動かすロボットハンドを開発した。ロボット工学では外乱として扱われがちな重力を、逆に動力として利用する独自機構が核になる。成果は2026年、学術誌IEEE Robotics and Automation Lettersに掲載された。

ロボットが工場や物流、家庭などで働くには、形や大きさ、重さ、硬さの異なる多様な物を安定してつかむ必要がある。従来のロボットハンドは多数のモーターと複雑な制御でこれに対応してきたが、重量やコスト、故障リスク、制御の難しさが課題だった。用途ごとに専用ハンドを付け替える「ツールチェンジャー」という周辺装置を使う方法もあるものの、システムが大がかりになる。

チームが考案したのは「MaGDri(Magnetic and Gravity-based Driving)機構」だ。モーターの回転力は、磁石の吸着で軸をつなぐ磁気カップリングを介して目的のグリッパーに伝わる。グリッパーを切り替えたいときは、あえて大きなトルクをかけて磁石の結合を外す。すると、振り子のように吊られたモーターが重力で振れて次のグリッパーの位置まで移動し、再び結合する。切り替え用のモーターやセンサーを追加せずに、駆動先を自律的に選べる仕組みだ。試作機を使った実験では、物体の形や大きさに応じて適切なグリッパーを選んでつかめることを確認した。

チームはこの成果を、モーターの数を増やさずに機構設計の工夫でロボットハンドの機能を広げる、新しい設計原理と位置づける。1台のハンドで複数のつかみ方を切り替えられれば、ロボットが担える作業の幅が広がり、人の仕事をより柔軟に支援できるようになるとみる。

モーターが1個で済むため、ハンドの軽量化や省スペース化、低コスト化につながる可能性がある。研究チームは、家庭での片付けや介護現場での物の受け渡し、店舗や物流施設での商品の取り扱いなど、多様な物を安全に扱う場面への応用を見込む。産業用から家庭用、介護支援、災害対応まで、幅広いロボットのハンド開発に貢献すると期待を示している。

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FabScene編集部

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