手や腕を動かせない人が、息を吸ったり吹いたりしてパソコンを操作する「sip-and-puff(シップアンドパフ)」という福祉機器がある。市販品は1500ドル(約24万円)ほどするが、これを約20ドル(約3200円)の部品で自作できるオープンソースの装置を、Daniel Yordanov氏が公開した。名前は「L.I.P.S.」だ。
使い方はこうだ。口にくわえた部品をあごや唇で動かすと、内蔵のジョイスティックがマウスカーソルを動かす。息を吹く(パフ)と左クリック、吸う(シップ)と右クリックといった操作になり、キー入力やスクロールも割り当てられる。USBでつなぐ標準的なマウスやキーボードとして認識されるため、パソコン側に専用ソフトはいらない。
種類は、センサーの数で3つある。最も簡単な「SINGLE」は、圧力センサー1個とジョイスティックの組み合わせで、吹くと左、吸うと右クリックが最初から決まっている。センサーを増やした上位版では、長い息と短い息を区別したり、息の組み合わせでまとめて操作(マクロ)を呼び出したりもできる。
頭脳には、安価なUSB対応マイコン「CH552」を使う。設定は、このマイコン上で動くブラウザ経由の画面から変えられ、コードを触らずに動作を調整できる。ケースは3Dプリントで作る。
Yordanov氏は2025年夏、地元の催し向けに開発を始め、福祉機器が高すぎると感じてこの装置を作ったという。基板データ、ファームウェア、3Dデータはすべて公開している(ライセンスはCC BY-NC-SA 4.0)。設計と部品はGitHubと公式サイトにある。