メルセデス・ベンツは、車載機器の開発を手軽にするオープンソースのプラットフォーム「ARDEP」を公開した。車の中の電子機器と通信するための回路をあらかじめ載せた開発ボードと、その上で動くソフトウェアを、一式でそろえる。設計図からソフトまでをすべて公開し、誰でも使えるようにした。
現代の自動車は、多くの電子制御ユニット(ECU)で動く。ECUは、エンジンやブレーキなどを個別に制御する小さなコンピューターだ。これらと通信する機器を開発するには、通常、複数の部品を組み合わせて専用の回路を用意する必要があり、手間がかかる。ARDEPは、この下ごしらえを1枚のボードに集約した。
ボードには、車載通信で広く使われる「CAN」と「LIN」の信号をやり取りする回路を、最初から組み込んでいる。CANとLINは、車の中の機器どうしがデータを伝え合うための通信の規格だ。外付けの部品を足さなくても、ボードをつなぐだけでECUとの通信を始められる。プログラムを書き込む装置や、動作を確認するデバッガーも、ボードに載せている。
ソフトウェアは、産業用途で広く使われるオープンソースの基本ソフト「Zephyr RTOS」を土台にする。車の自己診断の国際規格であるUDS(ISO 14229)に対応し、通信経由でファームウェアを書き換える仕組みも備える。CANやLINのほか、SPIやI2Cといった通信も、統一された分かりやすいプログラムの窓口から扱える。
拡張性にも配慮した。ボードはArduino用の拡張基板の差し込み口に対応し、市販のArduinoシールドを活用できる。別売りの拡張基板を足せば、最大48ボルト・3アンペアの出力を6系統扱える。設計ファイル、ファームウェア、文書のすべてがApache 2.0ライセンスで公開されており、高価な専用の開発環境を用意しなくても、開発者や研究者、教育の現場が車載開発に取り組める。