英MetMoが開発した、フラクタル構造を採用した万能万力「MetMo Fractal Vise」のクラウドファンディングがkibidangoで実施されている。支援受付期間は2025年11月13日まで。
「MetMo Fractal Vise」は、フラクタル構造と呼ばれる自己相似性を持つ形状を採用した万力。通常の平行に挟む万力とは異なり、6つの独立した可動パーツが個別に動くことで、丸いものや歪んだもの、複雑な形状のものでも確実に固定できる。この構造は1913年に発明された技術を現代の製造技術で小型化したものだ。
本製品は、ジョー(口金)の深さが20mmと一般的な卓上バイスの2倍の深さを持ち、作業中のずれや滑りを防ぐ設計となっている。最大クランプ力は300kg(約3000Nm)で、一般的な家庭用バイスの500〜800PSIに対して1965PSI(約137気圧)という高い圧力を実現。精密に研磨されたスライドレールとファインスクリュードライブにより、強力な固定力と繊細な微調整を両立している。
製品はアルミニウム製(ブラック)とステンレス製の2種類を用意。アルミニウム製は重量395g(ロング版485g)で、アルマイト処理を施した7075アルミ合金を使用。軽量で取り回しが良く、精密作業や模型製作に適している。ステンレス製は重量630g(ロング版722g)で、440硬化マルテンサイト系ステンレス鋼を採用。耐久性と安定性に優れ、金属加工など力のかかる作業に適している。
サイズは通常版が挟み幅32mm(深さ20mm)、奥行き56.5〜88mm×幅38mm×高さ44mm。ロング版は挟み幅82mm(深さ20mm)、奥行き122〜140mm×幅38mm×高さ44mmとなっている。
すべての部品は英国でCNCマシンによる金属削り出しで製造され、プラスチックは一切使用していない。底面にはシリコンラバー製のフットを採用し、作業台を傷つけずに安定した作業が可能。ボルトで組み上げられた構造のため、分解・整備も容易に行える。
別売りの拡張オプションとして、デスクトップワークステーション、ボールマウント、デュアルバイスアダプタープレート、ブラスソフト口金、パラレルソフト口金、クイックリリースマウントなどを用意。デスクトップワークステーションは、フラクタルバイスを固定する作業台として機能し、カッティングマットと交換して使用することも可能。ボールマウントを使用すれば360度の可動域で作業対象を自由な角度に調整できる。
また、ジョー(口金)を反転させることで内径クランプも可能となり、グラスやマグカップなどの内側からの固定にも対応する。この機能により、彫刻やペイントなどの繊細な作業も効率的に行える。
開発元のMetMoは、海外クラウドファンディングで4200人から支援を獲得した実績を持つ。日本でのプロジェクトは既に目標を達成し、製品の発送は2026年4月を予定している。