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ポケモンGOの位置データ300億枚がデリバリーロボットのGPS代替インフラに、Niantic SpatialがCoco Roboticsと提携

ポケモンGOで培われた位置情報技術が、都市部を走るデリバリーロボットの目になろうとしている。Nianticのスピンオフ企業Niantic Spatialは2026年3月10日、ラストマイル配送ロボット企業Coco Roboticsと戦略的パートナーシップを結んだと発表した。Niantic Spatialのロボティクス分野における初の商用展開となる。

この提携の核心にあるのは、Niantic Spatialが開発したVPS(Visual Positioning System:視覚測位システム)だ。カメラ映像だけを入力として、地図上の位置をセンチメートル精度で特定する。GPSがビルの谷間で精度を大きく失う高密度な都市部での運用に向いており、Coco Roboticsが直面する課題とぴったり合致する。

VPSの精度を支えているのが、ポケモンGO(2016年リリース)と前身のIngress(2013年リリース)のゲームデータだ。両ゲームはプレイヤーを特定の実世界スポットへ誘導する設計で、ポケストップやジムなどに向けてスマートフォンを向けたプレイヤーが膨大な枚数の画像を撮影・アップロードし続けた。Niantic Spatialはこれを約300億枚の学習データとして活用し、世界100万カ所以上のホットスポットを多方向・多時刻・多天候条件で撮影した画像群と、緯度・経度・カメラ向き・端末姿勢・動き情報などの精密な位置メタデータを結び付けた。「ラストマイルロボティクスの可能性は計り知れないが、混雑した都市の路上を走るという現実は最も難しいエンジニアリング課題のひとつだ」とNiantic Spatial CEO John Hanke氏は述べている。

Coco Roboticsは米国と欧州の各都市でロボット約1000台を運用しており、高層ビルが立ち並ぶ地域や地下道・高架下ではGPS信号が著しく低下するという問題を抱えていた。Niantic SpatialのVPSはGPSとカメラベース測位を組み合わせることで、ピックアップポイントへの正確なアクセスや段差のない経路の選択など、配送の最終段階における精度を高めるとしている。Coco共同創業者兼CEOのZach Rash氏は「ナビゲーション精度をさらに向上させる測位サービスへの安定したアクセスが得られる。今後は両社のエンジニアリングチームが連携し、ロボットがどの都市でも安全かつ自律的に動ける新たな方法を探求していく」とコメントした。

Niantic Spatialが目指すのは単なる位置測定の精度向上に留まらない。Coco以外のロボットや端末が走行・撮影した新たな映像データを継続的に地図に反映し、物体のタグや意味的理解も持つ「リビングマップ(生きた地図)」として世界モデルを育てていく構想だ。将来的にはARグラス、自律走行車、物流システムなど幅広い機械が共通の空間インフラとして参照するAPIを目指している。

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Niantic Spatial 発表(nianticspatial.com)

FabScene編集部

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