一般社団法人計算機と自然は、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「null²(ぬるぬる)」を万博終了後も別の場所で展示するため、クラウドファンディングサイト「READYFOR」で資金調達を開始した。目標金額は1億円で、2025年12月19日まで支援を募集する。
null²は、メディアアーティストの落合陽一氏がプロデュースしたパビリオンで、伸び縮みする鏡素材「ミラー膜」を外装に使用し、ロボットアームで動かすことで風景を映し込みながら絶えず変形する「動く建築」として設計された。万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」のもと、8つのテーマ事業のひとつ「いのちを磨く」を体現する施設として建設された。
万博会期中の入場枠の当選確率は数%程度にとどまっており、多くの人が体験できない状況となっている。プロジェクトでは、パビリオンをそのまま移設するのではなく、落合氏のコンセプトはそのままに、新天地に合わせた規模とデザインで再設計し、再構築する計画だ。
資金の使途は、新天地での企画設計・管理(企画検討、見積もり、設計費用等)、一般社団法人計算機と自然の活動費、パビリオンの展示内容・体験をアーカイブとして残すための記録映像制作費となる。1億円では建設費用すべてをまかなうことはできないが、引越計画の第一歩を踏み出すための資金として活用される。
返礼品として、パビリオンの外壁を形作るミラー膜を切り出した「null²のカケラ」(1万2000円)、落合陽一氏デザインのパーカー(1万8000円)、鏡面ペーパーにUVプリントを施した落合陽一氏プリント作品(30万円)、パビリオンの一部を模った木製彫刻作品(108万円)などが用意されている。
null²の建設には数十億円の費用がかかっており、今回の目標額1億円は再始動のための第一歩となる。引越先の具体的な場所や時期、設置期間は現時点では未定で、プロジェクトの進捗は活動報告や落合陽一氏の公式SNSで随時報告される予定だ。
クラウドファンディングはAll in方式で実施され、目標金額に届かなかった場合でも集まった金額に応じて規模を調整してプロジェクトを実行する。プロジェクトの実施完了日は2026年12月31日に設定されている。