生物学とロボティクスの境界を探る異色のワークショップ「Parasites and Robotics(寄生虫とロボティクス)」が2025年7月28日から8月1日にかけてドイツ・ベルリンで開催された。生物学博士号を持つアーティストのSalvador Marino氏が講師を務め、寄生虫の進化戦略からロボットの設計手法を学ぶ5日間のプログラムが実施された。
ワークショップは「寄生虫がロボティクスについて何を教えてくれるか」という創造的な問いから始まった。参加者は生物学、SF、オープンソースハードウェアの交差点を探り、自然界の奇妙で巧妙な適応からインスピレーションを得たロボットのプロトタイプを制作した。
使用されたのは「Arduino UNO R4 WiFi」ボード、「Motor Shield」、「Arduino Soldering Kit」で、これらにPure Data、TouchDesigner、Ableton Liveなどのデジタルツールを組み合わせている。参加者の多くがArduinoを初めて使用したにもかかわらず、それぞれ独自の投機的ロジックと動作を持つ実験的ロボットを完成させた。
プログラムは生命の境界に焦点を当て、知覚、宿主の身体、環境、ハイブリッドアイデンティティなど、日替わりで異なる側面を探求した。各セッションでは概念的議論と実践的応用を組み合わせ、はんだ付け、配線、プログラミング、そして有機生命と人工生命の境界に疑問を投げかけるプロトタイプのテストが行われた。
Marino氏は「参加者は寄生生物学とロボティクスの交差点に魅了されていた。多くの人にとってArduinoは初体験だったが、非常に興奮して取り組んでいた」と振り返っている。
Arduino UNO R4 WiFiの採用理由について、Marino氏は「初心者に最適。外部ライブラリが不要で、優れたドキュメントと巨大なコミュニティがある。WiFi機能は他のプログラムとのインターフェースやインタラクティブ環境の作成において特にメリットがある」と説明している。
ベルリンでのワークショップはで5日間、計20時間にわたって実施された。各セッションでは理論的議論と実践的応用が組み合わされ、有機生命と人工生命の境界に疑問を投げかけるプロトタイプの制作が行われた。
Marino氏は今後、ロンドンやバルセロナなど他の主要都市でも「Parasites and Robotics」の開催を計画している。参加希望者は事前のArduinoやプログラミング経験は不要で、創造的な思考を持つアーティスト、デザイナー、パフォーマー、研究者など幅広い分野からの参加を歓迎している。