3Dプリンターの印刷失敗を自動検出するオープンソースシステムが開発された。ニューカッスル大学コンピューターサイエンス学位論文の一環として開発された「PrintGuard」は、既存のSpaghetti Detectiveと比較して40倍高速な処理速度を達成し、1GB未満のRAMで動作する軽量設計となっている。
PrintGuardは、開発者のOliver Bravery氏がObicoの「Spaghetti Detective」の課題を解決するために作成した。Spaghetti Detectiveは3Dプリンターの印刷物がスパゲッティ状に絡まった失敗を検出する既存のサービスだが、既存システムではエッジデバイスでの処理速度が遅く(2GB Raspberry Pi 4bで1fps未満)、スパゲッティ状の失敗のみを検出対象とし、多くの場合クラウドサービス経由での推論が必要だった。
新システムでは、ShuffleNetv2バックボーンを改良したアーキテクチャーとPrototypical Networkを組み合わせることで、同じ2GB Raspberry Pi環境で平均15fpsの処理速度を達成している。ベンチマークテストでは、Spaghetti Detectiveと比較して精度と再現率で平均2倍の改善を記録した。
PrintGuardは、安価なローカルハードウェアでの無料展開を目的としたエッジ配置に特化した設計となっている。Python PyPiパッケージとして提供され、複数プリンターの監視、モバイルおよびデスクトップでのリアルタイム通知、Octoprintとの連携による自動印刷停止・中止機能を搭載している。
セットアップでは、Cloudflare TunnelsやNgrokなどの無料リバースプロキシサービスを活用した外部アクセス設定のガイダンスも含まれており、長時間印刷の遠隔監視にも対応している。これにより、ユーザーは自宅にいない間でも安全に印刷監視を継続できる。
システムはウェブインターフェースを通じて操作し、ウェブプッシュ通知によりリアルタイムで欠陥を検知・通知する。全ての処理がローカルで完結するため、プライバシーの懸念もない。
開発者によると、現在のパッケージはベータ版段階にあり、フィードバックを求めている。プロジェクトは完全にオープンソースで公開されており、研究論文、Pythonパッケージ、リポジトリがそれぞれGitHubとPyPiで利用可能となっている。
PrintGuard Pythonパッケージ
PrintGuardリポジトリ(GitHub)
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