Raspberry Piが2025年7月9日、レゴのモーターやセンサーを制御できる拡張ボード「Build HAT」のファームウェアを完全オープンソース化したと発表した。これまでバイナリ形式でのみ提供されていたファームウェアのソースコードがBSD 3-Clauseライセンスの下でGitHubリポジトリに公開された。BSD 3-Clauseライセンスは、商用利用や改変、再配布を広く許可するオープンソースライセンスで、企業や個人が比較的自由にソフトウェアを活用できる。
「Build HAT」は、Raspberry Piの40ピンGPIOヘッダーに接続する拡張ボードで、LEGO Education SPIKE PrimeセットやMINDSTORMS Robot Inventorキットに含まれるモーターやセンサーを、Pythonプログラムから直接制御できる。距離センサー、カラーセンサー、力センサーなど多様なセンサーと、エンコーダー内蔵の角度モーターに対応している。
今回のオープンソース化により、開発者はファームウェアの動作原理を詳細に調査し、独自の改良を加えられるようになった。これまでPythonライブラリ経由でのみ利用可能だった機能を、より低レベルで制御することも可能だ。
Build HATは元々、LEGO Educationとの共同開発により教育現場での活用を想定して設計された。レゴブロックという馴染みのある素材とプログラミングを組み合わせることで、子どもたちがブロックベースのプログラミングを卒業した後も、物理的な構築物を通じてコーディング概念を学習できる環境を提供している。
オープンソース化により、教育機関や個人開発者が独自のカリキュラムや応用例を開発しやすくなる。ファームウェアの内部構造が公開されたことで、Build HATを他のハードウェアと統合したり、代替プラットフォームで動作させたりする可能性も広がった。
Raspberry Pi 財団も、自作ファームウェアでの使用方法を説明する新しいドキュメントをPythonライブラリに追加している。Build HATが既に数千のクリエイティブなプロジェクトに寄与しているとし、今回の変更がさらに多くの革新的なプロジェクトと優れた作品にインスピレーションを与えることを期待しているとプレスリリースで述べている。