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ラズパイOS最新版「Trixie」公開、2038年問題に64ビット化で対応

Raspberry Piは2025年10月2日、同社製シングルボードコンピュータ向けOS「Raspberry Pi OS」の最新版となる「Trixie」を公開した。Debian 13ベースで、2038年に発生する時刻システムのオーバーフロー問題への対応やデスクトップテーマの刷新などが行われた。

主な変更点の1つが、2038年問題への対応だ。従来のLinuxでは1970年1月1日午前0時からの経過秒数を32ビット符号付き整数で管理していたが、2038年1月19日にこの値がオーバーフローし、1901年に巻き戻ってしまう問題があった。新版では時刻を64ビット値で管理することでこの問題を解決。オーバーフローは西暦約292兆年後となり、実質的に問題が解消された。

デスクトップと設定環境を刷新

デスクトップテーマも全面的に刷新された。新たに「Nunito Sans Light」フォントを採用し、アイコンセットや壁紙も一新。従来の「Piboto」フォントから変更され、外部デザイナーの協力を得て視認性と使いやすさを向上させた。デフォルト壁紙はアフリカ南部にある、レソトのドラケンスバーグ山脈の日の出を撮影したものとなっている。

設定環境も改善された。従来複数に分かれていた設定アプリケーション(Raspberry Pi Configuration、Appearance Settings、Mouse and Keyboard Settings、Screen Configuration、Printerなど)を統合した新アプリ「Control Centre」を追加。プラグイン形式で機能を拡張できる設計となっており、サードパーティによる設定画面の追加も可能だ。

Control Centreのスクリーンショット / 出典: プレスリリース

パッケージング方式も改善され、コマンドライン版のLiteイメージからデスクトップ環境への変換、またはその逆が容易になった。rpd-wayland-coreやrpd-x-coreなどのメタパッケージを用いることで、必要な環境を段階的に構築できる。

このほか、電子書籍閲覧アプリ「Bookshelf」も更新され、Raspberry Pi Official Magazine購読者向けの早期アクセス機能が追加された。

新版は「Raspberry Pi Imager」または公式ダウンロードページから入手できる。Raspberry Pi 5、500、500+では、Ethernetケーブル経由でブートローダーに組み込まれたRaspberry Pi Imagerから直接インストールすることも可能だ。

なお、公式は従来版のBookwormからのアップグレードを推奨せず、クリーンインストールを推奨している。また、Raspberry Pi AI HAT+、AI Kit、TV HAT、Wolfram Mathematicaのパッケージは現時点で未対応で、これらを使用している場合はBookwormの継続利用が推奨される。従来版のBookwormはDebianにより今後2年間サポートされるが、Raspberry Pi固有のパッケージ更新は行われない予定だ。


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Trixie — the new version of Raspberry Pi OS

FabScene編集部

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