ロビットが開発したカット野菜用AI外観検査装置「TESRAY Gシリーズ」が、マルハニチロの冷凍食品工場で本格稼働を開始した。従来の色彩選別機では検出が困難だった「良品と色が似ている不良品」をAIで判定し、落下中に選別する。検査品質の向上と省人化を実現した。
TESRAY Gシリーズは、食品・農作物原料向けの外観検査ソリューションだ。検査対象が空中を落下するわずかな間にAIが検査を実施し、着地前に異常品を排出して選別する。
従来、食品工場で使われてきたカラーソーター(色彩選別機)は、色の違いで良品と不良品を判別する装置だ。しかし、カット白菜のように良品と不良品の色が似ている場合、正確な選別が困難だった。TESRAY Gシリーズは、ロビット独自のAI技術により、色だけでなく形状や質感も含めて判定するため、「良品と色が似ている異物」も検知できる。
「軽微な変形なら出荷する」といった柔軟な選別基準を設定することも可能で、歩留まりの最適化と食品ロス削減にも貢献するという。
マルハニチロの冷凍食品工場では、カット野菜の目視検査に熟練作業者の経験が不可欠だった。形態不良の種類や状態が多岐にわたり、細かい異常箇所も発生するためだ。高齢化や労働人口減少が進む中、検査の自動化と品質向上の両立が課題となっていた。
TESRAY Gシリーズの導入により、熟練作業者でなくとも選別が可能となり、検査品質の安定化と省人化を達成した。1ロットごとに検査情報を集計しているため、異常種類の傾向や発生頻度の検証、サプライヤーごとの年度別品質管理も可能になった。
ロビットは2014年設立のロボット・精密機器メーカーだ。2016年にスマートフォンで操作できる自動カーテン開閉装置「mornin’」を発売し、その製造過程で協力工場の外観検査における人手不足の課題を知った。2017年から外観検査の自動化に取り組み、AIとハードウェアを組み合わせたソリューション「TESRAY」を開発。自動車部品、養生テープメーカーのダイヤテックス、雪国まいたけなど、工業製品から食品まで幅広い分野で導入実績がある。