イタリアSECOは2025年10月にRaspberry Pi Compute Module 5を搭載した産業用ヒューマンマシンインターフェース(HMI)「Pi Vision 10.1 CM5」の早期アクセス登録を開始したと発表した。IoT開発者とシステムインテグレーター向けに設計されたプラットフォームで、堅牢な産業用筐体とRaspberry Piエコシステムの互換性を両立している。
Pi Vision 10.1 CM5は、10.1インチの静電容量式タッチディスプレイを搭載し、解像度は1280×800ピクセル。正面はIP66等級の防塵防水性能を持ち、高輝度ディスプレイを採用している。アルミニウム製の筐体はファンレス設計で、パネルマウントに対応する。
プロセッサはBroadcom BCM2712クアッドコアArm Cortex-A76で、動作周波数は2.4GHz。RAMは最大8GBのECC付きLPDDR4-4267 SDRAMを搭載し、ストレージは最大64GBの内蔵eMMCフラッシュメモリを備える。
接続性では、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)とBluetooth 5.0を標準搭載する。インターフェースはPCIe 1レーン、USB 2ポート、HMI 2ポート、ギガビットイーサネットを備える。Raspberry Piエコシステムとの互換性を保ち、カメラモジュールやHATなどのアクセサリを利用できる。
ソフトウェア面では、Raspberry Pi OSをプリロードして出荷され、Docker、Node-RED、TensorFlow Lite、Edge Impulseなどの開発環境が事前に構成されている。Node-REDとMQTTを使用してセンサーからデータをストリーミングし、リアルタイムで可視化し、異常検知時にアラートやAI駆動のアクションをトリガーできる。
SECOの産業用OS「Clea OS」にも対応し、リモート管理とOTA(Over-The-Air)アップデートをサポートする。A/Bパーティショニングによる安全なロールバック機能、コンテナ化されたアプリケーションサポート、Clea IoT Suiteへの接続機能を提供する。EN18031-1規格に準拠したセキュリティ認証を取得している。
用途としては、スマートビルやHVAC(空調)での環境モニタリングと制御パネル、工場でのHMI、小売店やキオスクでの対話型POSやデジタルサイネージ、自動販売機やスマート家電の堅牢なタッチインターフェースなどを想定している。
アルミニウムの一体成形筐体により、過酷な環境での耐久性とファンレスによる受動的な熱放散を実現する。パネルマウント用のブラケットが付属し、固定具に穴を開けることなく取り付けが可能だ。
2GB RAM/16GB eMMC/Wi-Fi搭載モデルの価格は239ユーロ(約3万7000円)で、11月下旬に出荷開始予定。SECOは登録者向けに特別価格を提供している。