3Dプリンター住宅を手がけるセレンディクスは2025年12月、大阪・関西万博で使用したモデルと同型の「serendix5」シリーズのキット販売を開始した。50m²モデルの壁パーツ(10個)で330万円(税込)からという価格設定で、施主が自ら施工を手配する「ハーフビルド」方式により建築費用を抑えられる。能登半島地震の被災地からの要望がきっかけとなった。
セレンディクスは2022年3月、日本初の3Dプリンター住宅「serendix10」を延べ23時間で完成させて以来、3Dプリンターによる建設技術の開発を進めてきた。2024年9月には石川県珠洲市に2人世帯向け「serendix50」の1号棟を建築している。
今回のキット販売は、能登半島の被災者から「部材だけ提供してもらえれば、親戚や知人の業者に手配して建てたい」という要望が複数寄せられたことがきっかけだという。同地区では人手不足から建築費用が高騰し、住宅再建が困難な状況が続いている。
キットには3Dプリンター製の壁パーツ10個と作業手順書が含まれる。施主が自ら施工を手配することが前提で、電気工事や給排水工事など資格が必要な作業は専門業者に依頼し、内装など可能な部分はDIYで仕上げる「ハーフビルド」が可能だ。セレンディクスはリモートでの施工サポートと電話相談を無償で提供する。
壁パーツを組み合わせるシンプルな構造のため、標準工期は約24時間(3日間)となっている。建築面積は30m²から最大200m²まで変更可能で、間取りも自由に設計できる。屋根は金属屋根や木造屋根によるハイブリッド工法をオプションで選べる。
販売地域は北海道を除く全国で、建築業者への販売にも対応する。石川県では既に6棟の購入希望があるという。